「知」の結集 ゆびすいコラム

2018.04.27

処遇改善Ⅰ、賃金水準にご注意下さい

今日はこの年度末にトラブルが多かった、処遇改善Ⅰについてご説明させていただきます。

新設園さまや、新規移行園さま以外は、ほとんどの園で、処遇改善Ⅰの基準年度はH24年度になります。

このH24年度の給与水準と比較して、処遇を改善して下さいということが、処遇改善Ⅰの基本的なルールなのですが、単純に「現在の給与-H24年度の給与」とはならず落とし穴が2つあります。

1つ目のポイントは、人事院勧告分の処理です。

子ども子育て新制度が動き出した後、公定価格の中の人件費相当分は、毎年少しずつ上がっています。つまり、園に入ってくるお金が増えているということです。H24年度から通算すると既にこの人勧分は10%を超えてきています。この分の数字は、園で行った処遇の改善ではなく、国が行ったものなので、処遇改善Ⅰの賃金改善額には含まれません。

ですから、「現在の給与水準-人勧分-H24年度の給与水準=処遇改善額」となります。これが1つ目のポイントです。

2つ目のポイントは、給与水準の考え方です。
例えばH24年以前から勤めている、Aさんがいると仮定してみましょう。
H24年度(H24.4月)の時点でのAさんのお給料と、属性を、

22歳、短大卒、勤続2年目、役職なし、額面18万円だとします。

そのAさんが現在まで勤めているとして、H30年度(H30.4月)のお給料が、

28歳、短大卒、勤続8年目、副主任、額面27万円(内4万は処遇Ⅱ)だとします。

この場合に、やりがちな間違いが、Aさんの現在の給与から過去給与を引いて、賃金改善額としてしまうことです。

間違いの例:(27万-4万)-18万=5万が処遇改善分という考え方

この場合は、AさんのH24年度の給与と比較するのではなく、

H24年度に、28歳短大卒、勤続8年目、副主任という、現在のAさんと同じ属性の方がいたとして、その方の給与がいくらだったか?がH24年度の給与水準という考え方になります。

少々ややこしい考え方と事務処理となりますが、最近では処遇改善がきちんとなされていなかった園が、自治体に過去数年分の返金を求められたという事例も耳にしますので、きっちりと処理をしていただくことをおススメします。

また、ご不明点がございましたら、コンサルティング事業部までお問い合わせ下さい。

コンサルティング事業部 石川 泰令

  

教育・福祉事業