平成20年から営利目的の一般社団法人が簡単に設立できるようになり、これを活用した相続税の節税対策が多数見受けられました。
これに対して、平成30年税制改正は、この節税対策を規制する内容になりました。それでは、以前はどのような節税効果があり、どのように内容が改正されたのかをご紹介します。
◆以前の考え方
1、不動産を多く所有する個人に相続が発生したとします。その場合、不動産に対して、相続税が課税されます。
2、この個人が、株式会社に不動産を移した場合、直接不動産に対して、相続税が課税されません。ただし、移転した不動産は「株式」に形を変え、相続税が課税されることになります。
3、この個人が一般社団法人に不動産を移した場合、一般社団法人は株式会社でいう株式にあたる「持分」がないという考えになりますので、不動産については相続税が課税されなくなります。
◆平成30年税制改正
改正内容は、簡単にいうと「親族で支配している一般社団法人を個人とみなして、相続税を課税する」というものです。
親族で支配しているとは、以下のいずれかを満たす場合をいいます。
1、相続開始の直前において、役員のうち同族役員(被相続人、その配偶者と3親等以内の親族)が過半数。
2、相続開始前5年以内において、役員のうち同族役員が過半数であった期間が3年以上。
なお、金額は、「純資産÷同族役員(被相続人含む)の数」で計算されます。
◆まとめ
平成30年税制改正では、一般社団法人の相続税対策に規制をかけましたが、それでもなお対策は可能です。やりすぎた節税対策は、後々規制されることも考えて節税対策を考える必要がありそうです。
堺OF 吉村隆宏