「知」の結集 ゆびすいコラム

2018.06.05

賃上げ及び投資の促進に係る税制

平成30年度税制改正により「所得拡大促進税制」が改組され「賃上げ及び投資の促進に係る税制」として改正されました。
 
次の適用要件を満たした場合、給与等支給額の対前年度増加額の15%(税額控除額の上限は法人・所得税額の20%)の税額控除が可能となります。
 
【適用対象】
青色申告の法人及び個人事業主(設立事業年度を除く)
 
【適用期間】
(1)法人:平成30年4月1日~平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度
(2)個人:平成31年~平成33年までの各年
 
【要件】
(1)中小企業者等
   賃金要件:継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率≧1.5%
(2)大企業
①賃金要件:継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率≧3%
②投資要件:国内設備投資額≧当期の減価償却費総額の90%
 
※継続雇用者の範囲は、適用年度及び前年度の期間内の各月において給与等の支給を受けた国内雇用者で一定のものをいいます。
 
中小企業者等は賃金要件のみ、大企業は賃金及び投資要件を満たす必要があります。
 
さらに次の要件を満たすことにより税額控除率を5%(中小企業者等は10%)上乗せすることが可能となります。(税額控除額の上限は法人・所得税額の20%)
 
【上乗せ要件】
 
(1)中小企業者等(税額控除率15%→25%)
  賃金要件の増加割合が2.5%以上、かつ、次の要件のいずれかを満たす場合
  ①適用年度の教育訓練費≧前年度の教育訓練費×1.1倍
  ②経営力向上計画に記載された経営力向上が確実に行われたことを証明
(2)大企業(税額控除率15%→20%)
  当期の教育訓練費≧前期及び前々期の教育訓練費の平均×1.2倍
 
※教育訓練費とは、教育訓練等(教育、訓練、研修、講習等)を自ら行う場合の外部講師等に支払う報酬等、外部施設等の使用料等、教育訓練等の外部委託費等、外部の教育訓練等への参加費等が該当します。
 
賃金要件が従来よりも簡素化されました。
従来の制度を適用されていなかった方はこの機会にぜひ活用してみてください。
 
倉田 博之
 

 

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