「知」の結集 ゆびすいコラム

2018.09.21

幼児教育無償化で何が起こる?

2019年の10月から、幼児教育が無償化となる見通しです。
それに伴い、この夏は私学助成の幼稚園様からの、お仕事の依頼を多数頂戴しました。
 
まず前提条件となる、「無償化で何が起こるか?」という予測についてですが今回の国の施策よりも早く、自主的に無償化に取り組んだ自治体の先行事例を見てみましょう。
 
2017年度から幼児教育・保育の無償化を実施した、大阪府守口市では、「どうせ無料なら長時間預かってくれる保育園がありがたい」という保護者の方の心理から、1号ではなく2号ニーズが大きく増えました。(約10%程が2号に流れました。)
 
同じく2017年度から、第二子以降の保育料を無償化した、兵庫県明石市の事例では、無償化ならと預ける保護者が激増し、施設が足りず待機児童数が日本一になりました。
 
両方の事例から推察されるポイントと致しまして、
①1号ニーズから2号ニーズへと、保護者の方のニーズが大きく動く
②保育ニーズの増加により、待機児童が増加する
 
という事が言えます。特に②の待機児童の増加に関しては、局地的に都市部では今後も起こる可能性がありますが、全国的に見ると子どもの数が減少していく中、業界にとっては恐らく最後のチャンスと言える状況でしょう。
 
また①の2号ニーズの増加に関しては、今後「私学助成の幼稚園の苦戦」が発生します。もちろん独自の取組により、ブランド化がなされている園さんは大丈夫ですが、そうではない一般的な園さんですと、
 
Ⅰ.人口減少により子どもは減り
Ⅱ.さらに2号ニーズ増加により、幼稚園希望者は激減
Ⅲ.昨年から始まった処遇改善Ⅱの影響で、採用も新制度の園が有利に
 
という3重苦の状況が予測されます。
それを受けて、この夏は移行の検討や中長期計画の事業計画・資金収支計画の立案などの仕事の依頼が相次ぎました。
 
また、待機児童が増加する最後のチャンスということで、施設数を増やしたいというご相談も多数いただいております。
 
私学幼稚園業界の積年の願いであった無償化ですが、保育園も同時に行われてしまうため、かえって業界としては大きなマイナスの影響を受ける事になりそうです。
 
上記のようなご相談、その他お悩み事がございましたら、ゆびすいグループまでご連絡下さい。
 
経営コンサルティング事業部 石川泰令
 
 
教育・福祉事業