「知」の結集 ゆびすいコラム

2018.09.19

被災時の優遇措置

 今年は各地で台風や地震など多くの災害が発生し、被害に合われた方も多数おられると思います。
税制上ではこのような災害の被災者に対して「災害免除法による減免」と「雑損控除」による所得税の優遇措置が設けられています。
 
①災害免除法による所得税の減免
一定の要件を満たした場合にその年の所得税が軽減又は免除されるものです。
【要件】
1.災害による損失であること。
2.災害による損害額が住宅又は家財の時価の50%以上であること。
3.損害を受けた年の合計所得金額が1,000万円以下であること。
【軽減額】
・合計所得金額が500万円以下 ⇒ 所得税額の全額免除
・合計所得金額が500万円超750万円以下 ⇒ 所得税額の2分の1
・合計所得金額が750万円超1,000万円以下 ⇒ 所得税額の4分の1
 
②所得税法の雑損控除
前述の災害免除法と似た制度に雑損控除があります。
雑損控除も災害免除法と同様に災害によって経済的な損失を受けた被災者に対して、所得税を控除するものです。
【要件】
雑損控除の場合には、災害免除法のように損害額が住宅等の時価の50%以上であることや合計所得金額の要件はありません。
生活に通常必要な資産が一定金額以上の損害を受けている場合に適用可能となります。
【控除額】
次の①又は②のいずれか大きい金額
①損失金額-所得金額×10%
②損失金額のうち災害関連支出の金額-5万円
なお、雑損控除の金額については、その年分の所得金額から控除しきれない金額がある場合には、翌年以後3年間繰り越して各年分の所得金額から控除することができます。
 
この2つの優遇措置については重複して適用することはできませんので、有利な方を選択することとなります。一般的にはその年分の合計所得金額が500万円以下の場合には「災害免除法」が有利となりますが、損害額が合計所得金額を超えて1年で控除できない場合には、繰り越しをすることができる「雑損控除」が有利となる場合があります。
どちらが有利かは個々の状況により異なりますので、優遇措置の適用をご検討される場合にはお気軽にご相談下さい。
 
石田 圭
 
 
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