「知」の結集 ゆびすいコラム

2018.11.08

会計監査人・設置基準の引き下げが延長に。

社会福祉法人制度改革において、法人の経営力強化・効率的な経営の観点から平成29年4月1日より一定の規模を超える社会福祉法人に対して会計監査人の設置が義務付けられました。
会計監査人による監査とは、社会福祉法人が作成する計算書類を対象として、外部の独立した第三者としての会計監査人(公認会計士又は監査法人)が監査を行い、計算書類の適正性について保証を与えるものです。
これにより、財務情報の信頼性の向上、ガバナンスの強化だけではなく、社会的信頼性の向上につながるものと考えられています。
この会計監査人制度を安定的に根付かせるため当初は設置対象となる法人の基準を段階的に引き下げ、対象範囲を拡大していくはずでしたが、この度平成30年11月2日付の厚生労働省の事務連絡より来年4月からの会計監査人の設置基準について引き下げが延期となりました。
つまり平成31年度以降「収益20億円を超える法人又は負債40億円超える法人」が会計監査人の設置が義務付けられる見込みでしたがこれが延期となり、従来通り「収益30億円を超える法人又は負債60億円」を超える法人が会計監査人の設置対象となります。
会計監査人を設置する年度(例:平成 31 年度)の前年度(例:平成 30 年度)における法人単位事業活動計算書におけるサービス活動収益計・法人単位貸借対照表における負債の部合計を適切に見込んだ上で、導入対象となれば
①会計監査人の選任までに予備調査を含め、一定の期間が必要である他、
②監査を受ける社会福祉法人及び監査を実施する公認会計士等の双方において、会計監査人制度・社会福祉法人制度等への理解及び態勢整備等の準備
が必要です。また、会計監査人候補者選定と同時に定款変更の手続きを進め、会計監査人を選任する評議員会までに会計監査人を設置する定款変更手続きも必要になってきます。このように監査人の設置に向けた準備には、予想以上に時間がかかります。直前になって慌てることがないよう、貴法人の現状を今一度把握してみてはいかがでしょうか。
 
大阪事務所 辻田和彦
 
 
教育・福祉事業