「知」の結集 ゆびすいコラム

2018.12.19

2019年度税制改正大綱

12月14日、自民公明両党は2019年度の税制改正大綱を発表しました。
例年同様、多くの改正事項が掲げられていますが、今回はその中でも気になる改正内容をご紹介いたします。
 
まずは住宅ローン控除の改正です。来年10月に消費税率が10%となった後、住宅を購入した場合、住宅ローン控除の控除期間は13年間となりました。
これは、消費税の増税による住宅購入者の負担と増税による景気の冷え込みに配慮した時限立法措置となります。
 
次はふるさと納税の改正です。今年の9月、総務省はふるさと納税制度を見直す方針を発表していました。
今回の大綱では「総務大臣が対象を指定」、「返戻割合は3割以下」、「返礼品は地場産品」等の基準が設けられました。
また、この基準に適合しない場合、総務大臣がその指定を取り消す旨が明らかされています。
その結果、ふるさと納税本来の趣旨に反した寄付は寄付金控除の特例を受けることができなくなります。
来年6月1日以降の寄付から適用となりますのでご注意ください。
 
最後は、子どもの貧困対策の一つとして直前まで自民・公明両党での意見の隔たりが埋まっていなかった未婚のひとり親に対する支援策です。
大綱発表の直前まで寡婦控除が改正されるのかと思い注目されていました。
しかし、寡婦控除は改正されず、未婚のひとり親の住民税を非課税にすることで決着がつきました。
この措置は前年の合計所得が135万円以下の婚姻していない者または配偶者の生死が明らかでない者が対象となります。
なお、国税の寡婦控除が改正されなかった救済として臨時・特別給付金(仮称)が支給される予定ですが、
この給付金については国税、地方税ともに非課税所得となります。
未婚のひとり親に対する寡婦控除の適用に対する議論は、これまで幾度となく繰り広げられてきました。
厚生労働省は政令で今年の6月から未婚のひとり親世帯に対して保育料や給付金などについては寡婦控除のみなし適用が開始されました。
しかし、所得税の寡婦控除については「寡婦」の定義を法律で見直す必要があるため今回の改正では見送られたようです。
この問題については、「子どもの貧困に対応するため、婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する更なる税制上の対応の要否等について、
平成32年度税制改正において検討し、結論を得る。」と検討事項に明記されました。
多様な家族が存在する現在において、今後、未婚のひとり親世帯について寡婦(夫)控除の対象となるのか今後の動向が気になるところです。
 
小畑直子
 
 
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