「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.01.23

芥川賞、直木賞の賞金

 1月16日に第160回芥川龍之介賞(以下、芥川賞)、直木三十五賞(以下、直江賞)受賞者が日本文学振興会から発表されました。
 
 芥川賞には、上田岳弘氏の仮想通貨を題材とした『ニムロッド』と町屋良平氏のボクサーを題材とした『1R1分34秒』の2作品が受賞しました。
直木賞には、真藤順丈氏の戦後の沖縄を舞台とした『宝島』が受賞しました。
 
 ここで気になるのは、賞金ですよね。調べてみると、芥川賞は正賞として、懐中時計、副賞は100万円送られるそうです。また、直木賞も芥川賞と同じ、正賞として懐中時計、副賞は100万円と全く同じでした。正直なところ、思った以上に賞金が少ないと感じませんか。しかし、作家の人からすると、名誉ある賞を受賞する喜びが勝るのでしょう。賞金はおまけであると思います。
 
 しかし賞金をもらっても喜んでばかりいられないのが、税金の世界です。芥川賞、直木賞どちらとも100万円に対して所得税が課税されます。いや、ちょっと待てよと思われた方もいらっしゃると思います。そうです、芸術関係の奨励金は所得税が非課税になる場合もあります。
条文では、「学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品で財務大臣の指定するもの」(所得税法第九条一項第十三号より引用)と規定されています。
芥川賞、直木賞はどうでしょうか。2つの賞を主催する日本文学振興会は、財務大臣指定の団体ではないため、賞金に所得税が課税されます。
 
ちなみに、賞金は所得税の一時所得に該当し、以下の算式で求められます。
一時所得=(総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円))×1/2
 
中野 晃太
 
税 金