「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.04.01

特定処遇改善加算とはなんだ?!

2019年10月実施予定の介護報酬改定で創設される、新たな処遇改善の名称が「介護職員等特定処遇改善加算」に決まりました。
公益法人の人事系のコンサルティング案件を行う私としては、「また忙しい日々が来るのか・・・」と少し恐怖におびえる・・・
そんな余裕すらなく、年度末の業務繁忙に追われております。
 
話を介護施設の新たな処遇改善に戻しますと、年度末に向けて、詳しい事務連絡やFAQの発表があるはずで、今か今かと首を長くしてまっているのですが、中々出てこないとお困りの事業者様も多いのではないでしょうか。先月もとある社会福祉法人野理事長さまから、連絡を頂いて、「石川さん・・・人件費の来年の予算組ってどう考えたらいいでしょう・・・?と相談を受けたのですが、私も当然判断が不可能で、理事長のところの人数ですと、国の予算額全体÷介護職員180万人×施設の介護職員数ぐらいで、ざっくり加算分を出されてはいかがでしょう?」程度のお答えしかできず、私も困っておりました。
 
2月の中旬にようやく改正案がまとまり全体像が見えて参りましたので、簡単にお伝えしたいと思います。
 
従来との大きな変更点として、居宅介護支援や福祉用具貸与、訪問看護・訪問リハなどは対象外となっています。
また現状で見えている取得要件としては、
①現在の処遇改善加算のⅠ~Ⅲのいずれかを取得していること。
 こちらに関しては、現在98%以上の施設さまが該当することになるのでほとんど問題はないでしょう。
②職場環境等要件に対し、複数の取組を行っている事。
 こちらも、対応が可能な事が多いので、問題はないでしょう。
③処遇改善について情報公表制度やHPなどで「見える化」
 こちらは、HPやITを余り活用していない事業者さんで少しネックになる可能性があるといった程度で、大きな問題ではないでしょう。
 
その他、新加算ⅠもまたⅠとⅡに分かれるのですが、これは「介護福祉士の配置が手厚い事業所に加算をする」。とうい名目で、「サービス提供体制強化加算」「特定事業所加算」「日常生活継続支援加算」「入居継続支援加算」などの取得状況で決まります。
 
厚労省の説明を紐解くと、新加算ⅡはⅠの90%になっているようです。もちろん新加算もⅠを取れるように、持っていく方向が良いのですが、Ⅱでも90%は取れると考えると、ここは取りあえずはⅡでも問題はないと判断する事業者さまが多いのではと予測しています。
 
また上記に伴い、厚生労働省では、職場環境等要件や新加算Ⅰのルールは2021年の報酬改定に向けて再整備をしていく方向にあるようです。現行ルールの正式発表前から、再整備が公表されている(つまり、これから公表されるルールに不満がある状態)というのも不思議な話ではありますが、ここはネガティブに「何を中途半端に作ってるねん!」ではなく、「すごく急いで10月に何とか間に合わせてくれたんですね!」とポジティブに考えています。
 
この職場環境等要件に関しても、経営者様と良くお話をさせていただいており、処遇改善加算を取得することはもとより、「従業員満足度の為に、また離職率を下げる・採用の成功率を上げるという業界の大きな経営課題を解決する為に、重要なポイントだ!」と以前から私は考えていたのですが、近年この考えに同調していただき、従業員満足度という視点を持ってくださる経営者の方も非常に増えてきたように感じており、嬉しい限りです。
 
最後に、一番重要な報告事項である、賃上げ要件については、
①「経験・技能のある介護職員」・「その他の介護職員」・「その他の職種」におけるモデル賃金での賃上げ額を2:1:0.5以上に設計する。
②「その他職種」に関しては440万上限というようなルールが発生しそうです。
 
上記から発生する事柄として、全ての事業者様で人事制度(給与制度・等級制度・評価制度)のうち等級制度と給与制度は変更の必要があるように感じます。また、②については東京や大阪など賃金の高い地域で大きな規模で事業を展開していらっしゃる事業者において、440万上限がネックになる可能性があるのではないかと考えます。しかも今回の内容は、「例外」を認める・「原則」としてという記載も多く見受けられ、条文をしっかり読み込む必要性が従来よりも高そうです。
 
総括的に考えると、取得要件自体は簡単であるが、やはり人事制度を作り変えなければならない事業者様がほとんどになるのではないでしょうか。
そのようなニーズや、「条文の読み込みが難しいからプロにしっかりと聞いておきたい」というようなニーズがございましたら、介護専門チームを持つゆびすいまで、是非ご連絡下さい。
 
 
 
経営コンサルティング事業部 石川 泰令
 
 
教育・福祉事業