「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.04.05

新・所得拡大促進税制(賃上げ・投資促進税制)の申告開始!

 2013年度税制改正により創設された所得拡大促進税制も施行から早6年が経ち、2018年3月31日に適用期限を迎えました。これに代わり2018年度税制改正で新たに導入された制度が「賃上げ・投資促進税制」であり、一年決算法人についてはこの2019年3月期分から申告が開始されます。
 集計に苦労しながらも多くの企業様で適用されてきた所得拡大促進税制は、2018年税制改正でどのように変わったのでしょうか。今回は中小企業者を対象にその概要と留意点について確認していきたいと思います。
 
 まず、新制度の要件は以下のとおりとなっております。
【適用要件と控除額】
 ①当期の平均給与等≧前期の平均給与等×101.5%
 ②当期の給与等  >前期の給与等
 ⇒控除額(当期の給与等-前期の給与等)×15%(下記の上乗せ措置により25%まで控除可能)
【上乗せ措置の要件】
 ①当期の平均給与等≧前期の平均給与等×102.5%
 ②次のいずれかに該当
   イ 当期の教育訓練費≧前期の教育訓練費×110%
   ロ経営力向上計画に従って当該計画が確実に行われた証明がされたこと
 
 集計する際の留意点としては次のことが挙げられます。
○平均給与等は、24か月継続して勤務する方のみ集計!
 新制度では、平均給与等の対象者が前期・当期のすべての月(24か月)において給与等の支給を受ける継続雇用者(雇用保険の一般被保険者に限る)に限られています。したがって、集計の際には、給与の支給を受けない月がある方はもちろん、途中で雇用保険の被保険者でなくなった方や高齢者等の継続雇用制度の対象となった方もすべて除いた上で給与等を集計することとなりますので、集計の事務負担は減少したのではないかと思われます。
○教育訓練費は外部に支払ったもののみ!
 教育訓練費の対象となる経費は、外部に支払ったものが対象であり、具体的には次のものが挙げられます。
 ・自社で講習等を行う場合の外部講師謝金、外部施設の使用料等
 ・他の者に講師等を委託した場合のその委託費
 ・他社の講習等の参加費
 
 新制度となり、給与等の比較対象が基準年度(2012年度)から前期に変更されています。平均給与等の増加要件は1.5%以上と厳しくなっていますが、適用できれば控除額は大きくなります。ご検討の際には、ぜひ弊社担当者までご相談ください。
 
堺事業部 大元 誠児
 
 
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