「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.04.15

欠損金の繰戻し還付の活用

 欠損金の繰戻し還付制度を活用されているでしょうか。
業績が前期黒字で今期赤字の場合、前期納付した法人税を還付することができます。
還付を受けるためには、以下の要件をすべて満たすことが必要です。
 
①還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について
連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
②欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。
③上記②の確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
 
※注意点
・この制度は、中小企業者等(大法人との間にその大法人による完全支配関係がある法人は除く。)
につき適用可能です。
・国税のみに限られた制度ですので、地方税についての適用はありません。
・還付請求を行う場合、税務署からの問い合わせがある可能性があるため、計算根拠となる資料の
保存が必要です。
 
 また、法人税と合わせて地方法人税についても還付が可能です。
還付請求を行う場合は、確定申告書の一表に繰戻し還付税額を記載しなければなりません。
地方法人税の還付税額の記載は失念しがちですので注意しましょう。
 
法人税率は、平成30年4月1日以後開始事業年度より、税率が23.4%から23.2%に引き下げられます。
今後税率が下がることが確実である場合は、高い税率での法人税を繰戻すことが納税者有利となる場合が
多いです。ただし、来期の業績見込によっては必ずしも還付請求が有利でない場合もあるため、慎重な判断が必要です。
資金繰りに余裕が無い会社は、還付請求を適用できるかどうか一度検討されてみてはいかがでしょうか。
 
宮嶋 亜湖
 
 
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