「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.05.13

外形標準課税で間違いやすい項目

 資本金の額が1億円超の法人には、外形標準課税といわれる法人事業税が課税されます。
 法人税は、その法人の利益である所得部分を課税標準として課税されます。
 一方、外形標準課税は、その所得部分のみではなく、企業の規模(給与額、資本金の額)の大きさにも課税を行います。
 外形標準課税は、「所得割」、「付加価値割」、「資本割」に区分されています。
 
今回は、「付加価値割」の計算において、実務上、間違いやすい項目を整理していきます。
 
1、報酬給与額に関する明細書
・退職金を入れ忘れやすい
 特に、退職金の支払いを退職給付引当金の取り崩しで処理している場合、別表5(1)の調整のみを行い、外形標準課税での申告を忘れやすいです。
 似たもので賞与引当金もありますが、賞与の支払いを賞与引当金の取り崩しで行っている場合、上記と同様の処理を行う事になるので注意が必要です。
 
2、純支払利子に関する明細書
・還付加算金が忘れやすい
 還付加算金は、利息としての性質を有する事から受取利子の対象になります。
 実務上では、「受取利息」勘定ではなく、「雑収入」勘定で処理されていることが多く、
申告漏れが発生しやすいです。
 
3、純支払賃借料に関する明細書
<支払賃料>
 ・外部保管料(荷役部分は除く)が忘れやすい
  契約で1か月以上、荷物を預ける保管料については、一定の土地又は家屋を使用していると考えられることから申告対象になります。
<受取賃料>
 ・電柱敷地料が忘れやすい
  電柱使用料は、電力会社が電柱の設置により土地の利用に制限をかけてしまっていることで支払われるもので、実質的に土地を使用したことによる対価を意味していますので、申告対象になります。
 
なかなか資本金の額が1億円を超える法人は数が少ないですが、もし計算することになった場合には上記の点にお気をつけて下さい。
 
堺OF 吉村 隆宏
 
 
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