「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.05.27

大規模法人、法人税の電子申告が義務化へ

 平成30年度税制改正により「電子情報処理組織による申告の特例」が創設され、2020年4月1日以降開始事業年度から大法人が行う法人税等の申告はe-Taxにより提出しなければならないこととされました。
 
今回は、その概要と注意点を整理していきます。
 
【概要】
①対象税目
法人税、地方法人税、消費税及び地方消費税
 
②対象法人
主に、内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人。(その他、相互会社、投資法人及び特定目的会社も対象となります。)
 
③対象書類
申告書、添付書類を含めたすべての書類(具体的には、後述します。)
 
④届出規定
電子申告義務化対象法人は、納税地の所轄税務署長に対し、適用開始事業年度等を記載した届出書を提出することが必要とされています。
 
⑤適用日
2020年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
 
【注意点】
 法人税申告書に添付する書類である財務諸表、勘定科目内訳書はPDF形式でのデータ提出が認められていないため、PDF形式で財務諸表や勘定科目内訳書を送信することはできません。そのため、どの書類をどのような形式で送信するのかが疑問となりそうですが、法人税確定申告書の場合は、電子申告義務化の対象となる書類と、原則的な提出データ形式をまとめると、以下の通りです。
(XML形式、XBRL形式とは、国税庁が定めるデータ形式です。)
 
1.申告書 → XML形式
2.別表 → XML形式
3.財務諸表 → XBRL、又はXML形式
4.勘定科目内訳明細書 → XML形式
5.事業概況書 → XML形式
6.適用額明細書 → XML形式
7.第三者作成書類 → PDF形式
 
したがって、これまで財務諸表と、第三者作成書類のみ紙面で郵送し、提出を完了させて
いた法人は要注意です。
 
今回の改正は、主に大法人だけに限るものですが、電子申告は、郵送不要で24時間提出可能というメリットがありますので、中小企業でも検討されてはいかがでしょうか。
 
福岡OF 中村 忠
 
 
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