「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.07.08

災害損失特別勘定

2018年は地震、台風と災害続きでした。2019年になり、元号が変わってから暫く経ちましたが、災害の被害に遭われた私の顧問先は、まだ復旧工事が済んでいないところもあります。
 
被災事業年度である当期に保険金の入金はあるものの、まだ修繕が完了していない場合、法人税法上の取り扱いとしては、次のようになります。
①保険金は、入金のあった当期の益金になります。
②修繕費は、実際に修繕が完了した事業年度の損金になるため、当期の損金とすることはできません。
 
結果的に、保険金だけが益金として処理されて、それに対する税負担が発生してしまいます。
 
この税負担を回避するために、「災害損失特別勘定」を設定するという方法があります。
 
これは、修繕のために要する費用で、災害のあった日から1年以内に支出すると見込まれるものとして適正に見積ることができるものについては、災害損失特別勘定に繰り入れて、被災事業年度の損金の額に算入することができるというものです。
 
つまり、①の保険金収入と相殺することができ、発生した税負担を軽減することができます。
 
実務上は、業者から見積書を入手して、その金額を災害損失特別勘定として計上することになります。
 
災害保険金入金の事業年度と、修繕完了の事業年度がズレて、税負担が発生する場合は、「災害損失特別勘定」の処理を検討されてみてはいかがでしょうか。
 
大阪支店 段野
 
 
税 金