「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.07.31

介護報酬に係る人員配置基準について

 最近、介護事業所を運営されるお客様との話の中で、介護報酬減額の話題がよく出てきます。話を聞いていると、単に介護支援専門員(ケアマネジャー)の作成した計画と実際に事業所で行われた介護サービスとが整合しないといった理由もありますが、予想外にも配置基準を満たしていないことによる理由も多いようです。そこで、改めて介護報酬と人員配置基準の関係について見てみたいと思います。
 
1.介護報酬の算定について
 介護保険法においては介護保険サービスを提供するにあたってそれぞれ必要な人員を配置するよう(以下、人員配置基準)定めています。
 人員配置基準以上の職員配置を行ったり、職員の質の向上を図る取り組みをするなどして高い介護サービスを提供する場合は、通常の介護報酬に加えて上乗せ分(※加算)を請求することが出来ます。他方、報告した人員に満たない職員数で運営していることが監査等で発覚した場合は減額の対象となります。
(※)加算項目は多岐にわたり、適用の可否についてもその行う介護サービスにより異なります。身近ものとしては、職員のキャリアアップに向けた仕組みを整備した場合の処遇改善加算があります。
 
2.人員配置基準
 人員配置基準はその行う介護サービスごとに異なります。
 例えば資格要件の要らない介護職員で言いますと、特別養護老人ホームの場合は利用者3人に対して職員が1人以上必要になりますが、通所介護事業所(デイサービス)であれば利用者15人に対して職員1人以上居れば良いといった具合です。このあたりは利用者の介護度によって提供するサービス内容が異なるため、これに応じて必要な人員数も異なるからです。
 
3.人員配置基準違反について
 ここ数年、介護職員の人材不足により人員配置基準を確保することに苦慮されている事業所が増えているようです。
 人員配置基準を満たさない場合、報酬の返還だけでなく、場合によっては事業所の指定取消や営業停止などの重い処分が科されることもあります。突然に多額の返金を通告された場合は施設経営に大きな影響を及ぼすことになりますし、指定取消であればなおさらです。
 不測の事態を未然に防ぐためにも、介護報酬の請求にあたって各種の要件も含めて不安に感じられている方は弊社介護専門チームまでお問い合わせ下さい。
 
経営コンサルティング事業部 尾上暁彦
 
 
教育・福祉事業