「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.09.04

給食にまつわる消費税

 令和元年10月1日より、いよいよ消費税の税率が8%から10%に引き上げられます。消費税10%が原則となるのですが、今回の消費税改正では「軽減税率」という新たな制度が設けられています。
 
 軽減税率の対象品目は,①酒類・外食を除く飲食料品②週2回以上発行される新聞( 定期購読契約に基づくもの)となっています。
 
 幼稚園、保育所、認定こども園は、給食やおやつを提供し、その対価を実費徴収しています。では、この「給食」という飲食の提供について今回の消費税の改正はどのように影響するのでしょうか?
 
 まず消費税の仕組みとして、2年前の課税売上が1,000万円以下である事業者は免税事業者となっており、消費税の申告・納税の義務はありません。
 
 社会福祉法人が運営する保育所や新制度に移行した認定こども園で提供される諸々のサービスの対価については、社会福祉事業として、また内閣府が定める基準によりほぼ非課税扱いとされています。したがって、よほど大規模法人でない限り、消費税の課税事業者として申告・納税が必要になることは稀であり、消費税増税に伴う給食材料費の増加に対応するため、実費徴収額の値上げの検討を除けば、今回の消費税改正の影響はさほど大きくないと考えられます。
 
 しかし問題となるのは私学助成を受ける幼稚園です。私学助成を受ける幼稚園の場合、用品収入・バス収入・給食収入は、保育料等の園児納付金収入に組み込まれない限り原則として課税売上となります。この課税売上高の合計額が1,000万円を超えると課税事業者として消費税の申告・納税をしている園も多いと思います。
 
 では、私学助成を受ける幼稚園の給食収入は軽減税率の対象となるのでしょうか?
 
 軽減税率は一定の食料品の販売に適用され、ケータリング、出張料理は適用対象とはなりません。しかし、温かい状態で配膳される「給食サービス」は、軽減税率の対象とされました。この「給食サービス」の中に幼稚園で行われる給食の提供が含まれており、給食収入は軽減税率の対象品目として8%が適用されます。但し、一食につき640円以下、1日累計額1,920円までという条件がつきます。また、アレルギーなどの個別事情により全ての園児に対して「給食サービス」を提供することができなかったとしても軽減税率の適用対象となります。ただし、「給食サービス」は、給食の利用が選択制である場合に「学生食堂」と同様の取り扱いとして軽減税率の対象外となってしまうことも考えられるので注意が必要です。
 
 幼稚園の消費税は想像以上に複雑です。今回の税率改正は10月という、幼稚園にとっては年度途中の税率変更でもあり、決算時の消費税の計算はより複雑になるものと思われます。申告期限前に慌てないためにも事前の対策が必須です。幼稚園の消費税に関する疑問・不明点は、ゆびすいグループへ是非ご相談ください。
 
公益法人事業部  大谷 晃弘
 
 
教育・福祉事業