「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.10.16

従業員に対する慶弔費の取扱い

 従業員の冠婚葬祭の際、会社から慶弔費を支給することがあります。
それはすべて経費として認められるのでしょうか。
 従業員に対する慶弔費は、事業を行う上で必要なものとして、原則的には
全額経費として計上することができます。
 
ただし、支給する際は、その費用が
①誰に対するものであるか
②実際に誰が受け取ったのか
③金額は相当であるか
 
といった基準に照らし合わせて考えなければなりません。
 
 たとえば、被保険者が従業員で会社が契約者・受取人となっている保険に
加入している場合、保険事故が発生したときは会社が保険金を受け取ることに
なります。
その保険金がたとえ従業員のために掛けられていた保険金であったとしても、
保険金全額を見舞金として従業員に支給してしまうと、一定の基準を超える
金額については交際費課税や源泉所得税の課税といった税務上の問題が生じる可能性があります。
 会社の規模にもよりますが、従業員に対する見舞金は入院1回あたり3万円
が相当であるといった裁決事例も存在します。
税務調査が入れば、見舞金の支給根拠について尋ねられる可能性もあります。
その際、慶弔見舞金規程を備えておけば、スムーズに対応できます。
その都度見舞金の支給額を検討することは実務上大変ですし、従業員平等に
取り扱われていることが明らかであれば、従業員の安心感にも繋がります。
 一定の基準にしたがって支給していることを証明するためにも、慶弔見舞金
などの規程の整備は必要でしょう。
 
宮嶋 亜湖
 
 
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