「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.12.18

簡易課税制度の届出の特例

今年も、早いもので残すところあと2週間となりました。

会計事務所の人間としては、この時期から年末調整や法定調書・償却資産税申告書の準備、そして、個人の方の確定申告と徐々に忙しくなってきております。

そんな中、昨日確定申告の相談に来られた方で、「基準年度の課税売上高が1000万円を超えてしまっていた。簡易課税制度の選択をしていれば消費税の納税が安くなったが、気が付いたのが今年に入ってからだった。今年は原則課税で申告します。来年度は、ぜひ簡易課税で申告したいです」というものでした。 
 確かに、消費税の簡易課税を選択するには、基準期間の課税売上高が5000万円以下で、簡易課税制度選択届出書を「適用を受けようとする課税期間の初日の前日」までに納税地の所轄の税務署に提出することになっています。
そのため、平成30年12月31日までに簡易課税制度選択届出書を提出していない場合、今年の申告は簡易課税の適用はできない。と考えてしまっている方が多いのではないでしょうか。
 
しかし、令和元年10月1日から令和2年9月30日までの日の属する課税期間においては、中小事業者の簡易課税制度の届出の特例があります。
これは、課税仕入れ等の税率区分が困難な事情があることを前提に届出の期限が「簡易課税制度の適用を受けようとする課税期間の末日」までとなります。
つまり、個人の方の場合、令和元年12月末までに簡易課税制度選択届出書を提出すれば今年の申告から消費税の簡易課税での申告が可能となります。また、令和2年9月30日の属する課税期間となっているため、令和2年12月末までに届出を行えば令和2年度の確定申告でも同様に簡易課税の選択適用ができます。
 
今年は、10%・旧8%・軽減税率8%など複数の税率が混在しており、原則課税・簡易課税の有利不利の判断が非常に厳しくなっています。ぜひ、原則課税か簡易課税を悩まれている方はこの制度を利用して納税の有利な申告をされてはいかがでしょうか。
 
困難な事情とは、事業者が税率の異なるごとの管理が行えないことなどにより、適用対象期間中の課税資産の譲渡等の税込価額を税率の異なるごとに区分して合計することが困難である場合をいい、その困難の度合いを問わず適用可能。(消費税の軽減税率制度に関する取扱通達の制定について(法令解釈通達))
 
西村 将人
 
 
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