「知」の結集 ゆびすいコラム

2020.02.20

お忘れではないですか。私立学校法の改正に伴い必要となる決議事項等について

 2020年4月1日より、私立学校法の一部が改正され、学校法人の制度改革が行われます。全ての学校法人が、この法改正に伴い、寄附行為を変更することとなります。
 手続きの終わった一部の学校法人を除き大部分の学校法人が、寄附行為変更にかかる認可申請の準備中又は認可申請中であることかと思います。
 この法改正に関して、寄附行為の変更以外に、施行日である4月1日までに対応が必要となる事項やその他注意点を挙げていきますので、まだ対応のできていないことについては速やかに年度末の理事会で審議できるようご準備くださいますようお願いします。
 
●役員に対する報酬等の支給の基準の作成について
 ・所轄庁から通知のあったモデル寄附行為では、役員の報酬について「役員に対して、別に定める報酬等の支給の基準に従って算定した額を報酬等として支給することができる。」と記載されています。
  この記載方法をとっている学校法人は、役員に報酬等を支給する場合も、無報酬とする場合も「役員に対する報酬等の支給の基準」を作成する必要があります。
 ・寄附行為変更の承認と同時に決議をしていない場合は、改正法の施行日までに、①あらかじめ評議員会で意見を聴いたうえで②理事会で承認を得てください。
 
●役員名簿の作成について
 ・役員等名簿の作成が義務付けられました。改正法の施行日までに、理事・監事及び評議員の住所氏名を記載内容とする役員等の名簿を作成してください。
 
●理事の競業承認について
 ・「競業」とは、理事が個人として又は会社等の代表者として、学校法人と競合する事業を行うことであり、教育研究事業のみならず、収益事業も対象となります。
 ・次のような場合にも「競業」となる可能性があるため、例えば年度当初や理事の就任時等において、理事会での包括的承認の仕組みを検討することが望ましいとされています。
  ① 理事が他の学校法人の理事を兼ねる場合
  ② 附属病院のある大学法人の理事が、病院(医療法人)を経営する場合
  ③ 理事が他の学校法人の教授や非常勤講師等を兼ねる場合
  ④ 附属病院のある大学法人の理事が、他の病院で診療行為を行う場合
・「上記①から④のような競業を行う理事がいる(予定)」の学校法人におかれましては、改正法の施行日までに、理事会にて、「理事の競業の承認」を決議されますよう、ご準備ください。
 
●理事会議事録署名人の減少について
 ・モデル寄附行為には、「議事録には、議長及び出席した理事のうちから互選された理事2人以上が署名押印し、常にこれを事務所に備えて置かなければならない。」と記載されています。この新しい寄附行為は、令和2年4月1日施行となるため、早く変更の認可が下りた場合であっても、3月31日までは今までの寄附行為が効力を有することとなります。従前の寄附行為には「議事録には、出席した理事全員が署名押印し、常にこれを事務所に備えて置かなければならない。」との記載を多く見かけます。この場合、年度末の理事会の署名人は「出席した理事全員」となりますのでご注意ください。
 
●欠格事由非該当の誓約書について
 ・「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」により「学校教育法」、「教育職員免許法」、「私立学校法」が改正されました。
 ・令和元年12月14日に施行されているため、従前の、役員の欠格事由非該当の誓約書の内容であった「成年被後見人又は被保佐人」という文言を使用する事は出来なくなっています。上記の記載に代えて「心身の故障のため役員の職務の適正な執行ができない者として文部科学省令で定めるもの」と、記載する必要がありますのでご注意ください。
 
登記事業部 米田 尚司
 
 
教育・福祉事業