「知」の結集 ゆびすいコラム

2020.11.16

退職金に係る税金は?

毎月、給与を支給されたときには原則として所得税や住民税が差し引かれます。それでは退職金を支給された時にはどうなるのでしょうか。
退職金に係る税金は給与と同様、所得税と住民税です。ただし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出するかどうかで、税金の天引きされる額が大きくかわりますので、ご注意下さい。
まず、退職所得の受給に関する申告書とは、退職金の支払いを受ける人が、勤務先に提出することで、勤務先が退職所得控除を考慮し、退職所得を算定してくれるため、確定申告が不要となります。
 
【所得税】前提:退職金1,000万円 勤続年数15年
①退職所得の受給に関する申告書を提出した場合
退職金から退職所得控除額を控除し、その残額を1/2にした額が課税退職所得金額となり、そこに税率を乗じます。以下が具体例です。
 40万円×勤続年数=退職所得控除額
 40万円×15年=600万円
 (1,000万円-600万円)1/2=200万円(この金額に所得税や住民税がかかります。)
 200万円×10%-97,500=102,500円(所得税)
 102,500円×2.1%=2,152円(復興特別所得税)
 102,500円+2,152円=104,652円(所得税総額)
 
②退職所得の受給に関する申告書を提出しなかった場合
退職金に一律20.42%の税率を乗じた金額となります。
 退職金×20.42%
 1,000万円×0.2042=2,042,000円(所得税総額)
 ※確定申告を行うことで、適正な税額となる。
【住民税】
住民税については所得税と同じ方法で計算した課税退職所得金額に一律10%を乗じた額を徴収します。
 
①と②では退職金の手取り額が大きく変わります。
②の場合でも確定申告を行うことで、もちろん適正な税額にはなるものの、確定申告の手間が増えますので、
退職金をもらう際には「退職所得の受給に関する申告書」の提出をお忘れなく、
また、企業側でも退職者に向けて、事前の告知を行うことで、トラブルを防ぐことに繋がります。
 
堺OF 水谷大樹
 
 
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