「知」の結集 ゆびすいコラム

2020.12.01

消費税の課税選択の変更に係る特例について

令和2年は新型コロナウイルス感染症の影響により、国や自治体からさまざまな給付金などの金銭的な支援がございました。消費税においても特例措置があります。これを「消費税の課税選択の変更に係る特例」といいます。
特例の対象となる事業者は新型コロナウイルス感染症等の影響により、令和2年2月1日から令和3年1月31日の間のうち任意の連続した1ヶ月以上の期間の事業としての収入金額が、前年同期と比較して、概ね50%以上減少している事業者です。 上記の対象事業者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けることで課税期間の開始後であっても課税事業者を選択する(やめる)ことができます。
本特例の活用例としては以下のケースとなります。
【課税事業者を選択する場合】
免税事業者が新型コロナウイルス感染症の影響によって課税売上が激減したり、急きょ業態変更に伴う設備投資を行ったなどの場合、課税期間の開始後であっても課税事業者を選択することができ、一般課税により申告を行うことで消費税の還付が受けられる場合がございます。
本特例により課税事業者を選択した場合、課税期間の翌課税期間において、課税事業者の選択をやめることも可能になります。
【課税事業者の選択をやめる場合】
当初、設備投資の予定があり消費税の還付目的で課税事業者を選択していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた設備投資を行うことができなくなってしまった場合、課税期間の開始後であっても、課税事業者をやめることが可能になります。
また、消費税の簡易課税制度の適用に関しても、現行法において「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例が設けられています。
例えば、新型コロナウイルス感染症等の影響による被害を受けたことで
・通常の業務体制が難しく、事務処理能力が低下したため簡易課税へ変更したい
・感染防止のために消毒液やマスクなどの衛生用品を大量に購入したなど、緊急な課税仕入れが生じたため一般課税にしたい
などの事情がある事業者が納税地の所轄税務署長の承認を受けることにより、課税期間開始後であっても、簡易課税制度を選択する(又は選択をやめる)ことができます。
上記の特例を上手く活用していただくことで、事務処理を簡便に行うことができたり、消費税の減額や還付が受けられる可能性がございます。
これから決算期を迎えられる事業者の方は是非一度、本特例をご検討下さい。
 
東京支店 室田 拓真
 
 
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