「知」の結集 ゆびすいコラム

2020.12.10

伝統建築技術の継承

 日本の「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」について、ユネスコ無形文化遺産保護条約政府間委員会の評価機関より「記載」(登録)の勧告がありました。当ブログが掲載される頃には正式に登録が決定されているものと、期待が高まります。
 我が国の伝統建築工匠の技は全国各地で伝承されていますが、その代表格の一つが三重県の伊勢神宮と言えるでしょう。
 伊勢神宮は「唯一神明造」と呼ばれる2,000年前の伝統建築技術を、20年ごとに新神殿を建替える「式年遷宮」によって脈々と現代に伝え、現在は2013年の「式年遷宮」により造営された社殿を見ることが出来ます。
 
 伊勢神宮の「式年遷宮」が20年を周期としていることについては、建築木材の耐久性などの様々な説が唱えられていますが、特に「伝統建築技術の継承」を目的とする、という考え方は興味深いものです。
 宮大工を志して10~20歳代で弟子入りし、建築技術を習得して40歳代を迎える頃には一流の職人となり、神殿造営の最前線で活躍する。さらに60歳を超えて、棟梁や指導者として後継者の育成にあたる、という世代の流れのなかで伝統技術が継承されていく、という考え方は、現代にも通じるものがあるでしょう。
 
 ここまでお読みいただいて、建築(建設)にまつわる「20年」という周期に膝を打たれた読者も多いはず。そう「クズネッツの波」です。1971年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者であるサイモン・スミス・クズネッツが発見した建設の需要及び投資を原因とする景気循環の「波」であり、およそ20年を1つの周期としています。洋の東西を問わず、あるいは何世紀もの時代を超えた符号は、偶然とは思えません。
 
 さて、偉大なる先人達の叡智の世界から、西暦2020年に話を戻しましょう。
 
 ゆびすいグループは毎年独自に、幼稚園・保育所・こども園の財務分析を実施しています。令和元年度の指標のうち施設整備関連の比率の一部を紹介いたしますと、各施設の老朽の程度を意味する、「取得価額に対する減価償却累計額の割合(減価償却累計額/取得価額)」の平均値は36.5%となっています。取得価額の概ね3分の1相当額の減価償却が進んでいる、ということを示しています。
 さらに「減価償却累計額に対応する積立資産の割合(積立資産/減価償却累計額)」の平均値は65.0%となりました。将来の施設整備のため、減価償却の進行に対応して各施設が現時点において積立てを要する金額の内、約3分の2が積立てられている、ということを意味しています。施設の整備に際しては、施設整備補助金の申請や公的金融機関からの融資なども検討されますが、自己資金の計画的な積立ては欠かせません。
 
 ゆびすいグループでは、教育及び福祉事業が“将来に受け継がれる”ために不可欠である、施設環境の整備や更新に関する資金計画の作成などのご相談も承っております。ご用命の際は、最寄りの各支店までご連絡をお待ちしております。
 
京都事業部 泉岡伸也
 
 
教育・福祉事業