新年を迎え、社会福祉法人の皆さまはそろそろ行政監査対応が一段落した頃でしょうか。今年度はコロナウイルスの影響に伴い、監査が延期されたり、規模を縮小して実施されたりしたところもあったのではないかと思います。
今回は、会計監査でよく確認される事項のひとつである「契約」について説明します。
契約は工事・修繕・高額な物品購入等を行う際に締結しますが、以下3つの方法があります。
① 一般競争入札
② 指名競争入札
③ 随意契約
それぞれの契約方法について簡単に説明します。
①一般競争入札
社会福祉法人は契約にあたり、原則、一般競争入札を行わなければなりません。
一般競争入札は、入札情報を示して不特定多数の業者を公募し、その中で最も有利な条件を提示した業者と契約を締結する方法です。
②指名競争入札
法人の経理規程に従って特定の条件を満たした場合にのみ行うことができます。
指名競争入札は、不特定多数の業者を公募する一般競争入札とは異なり、適当と認められる特定の業者を指名してその中で入札する方法です。指名競争入札を行う場合には、指名業者の選定理由を事前に理事会で説明し、承認を得る必要があります。
③随意契約
法人の経理規程に従って特定の条件を満たした場合にのみ行うことができます。
随意契約は、競争入札の方法をとらずに任意に特定の業者を選定して契約をする方法です。ただし、売買、賃貸借、請負その他の契約でその予定価格が以下の額を超えない場合に限ります。
・会計監査を受けない法人 :1,000万円
・会計監査を受ける法人 :法人の実態に応じて、下記金額を上限に設定。
(上限額)
・建築工事:20億円
・建築技術・サービス:2億円
・物品等:3,000万円
また、「契約の性質又は目的が競争入札に適さない(特定の者でなければ納入できない等)」、「緊急の必要により競争入札に付すことができない」、「競争入札に付することが不利と認められる」等といった合理的な理由が認められる場合には随意契約を行うことができます。
その際には3社以上の業者から見積もりを取り、比較したうえで適正な価格を客観的に判断することが必要となります。ただし、契約の種類に応じて、下記の金額を超えない場合には、2社以上の業者からの見積もりで差し支えありません。
・工事又は製造の請負 :250万円
・食料品・物品等の買入れ :160万円
・上記に掲げるもの以外 :100万円
見積もりを取る業者および契約金額の決定にあたっては、公平性・透明性の確保に十分留意しなければなりません。
契約に関する事項は、各法人で策定する経理規程において「契約担当者」「契約方法」「予定価格」等を明確に規定することが求められています。規程の内容および金額は各々異なりますので、適切な法人運営を行う為にも法人の経理規程を確認いただくことをお勧めします。
■参考資料
・「社会福祉法人における入札契約等の取扱いについて」(厚生労働省通知 平成29年3月分29日付)
東京支店 八木 裕子