「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.01.21

消費税のインボイス制度

新年あけましておめでとうございます。
 
今回は消費税のインボイス制度についてお話いたします。
インボイスは英語で「invoice」日本語では「送り状」といった意味があります。
インボイス制度もその名にちなみ「請求書」が絡む制度となっています。
 
・制度概要
基本的に、売り上げたときに相手から預かった消費税額(以下A)から、仕入、販売管理費等の消費税額(以下B)を控除した金額が納めるべき消費税額となります(BがAより多い場合には還付となります)。
現行制度ではBをどの相手から仕入れた場合でもAから控除することができますが、インボイス制度の下では「適格請求書発行事業者」(以下「適格事業者」)からの仕入のみ仕入税額控除の対象となります。
 
・適格請求書発行事業者
適格事業者は消費税の課税事業者のみが登録をすることができる新たな仕組みで、免税事業者は登録することができません。つまり、課税事業者が免税事業者(適格事業者でない事業者を含む)から仕入を行ったときは、適格請求書を交付することができないため、Bを控除することができなくなってしまいます。
課税事業者が「適格事業者」から仕入を行った場合には適格請求書を交付してもらい、それを保存することでBを控除することができます。
 
・インボイスのスケジュール
令和3年10月1日から適格事業者の登録申請が始まり、令和5年10月1日からインボイス制度が施行される予定です。また、経過措置が設けられており、令和8年9月30日までは、適格事業者以外の者からの仕入税額の80%、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは仕入税額の50%の控除をすることができます。これ以降は控除することができません。
 
・制度の対象となる方
学校法人、公益法人、社会福祉法人、宗教法人等は消費税の免税事業者であることが多く、これからも免税事業者であり続ける方がほとんどですので、本制度につき手続きをする必要はありません。
現在課税事業者であり、今後においても免税事業者となる見込みのない事業者については、適格事業者となり消費税の計算をしていただくことになります。ただ、仕入先が適格事業者かどうかを気にしていただく必要があります。
最も検討すべきなのは、現在免税事業者の方で、課税事業者に対して売上がある事業者(C社)です。この場合、売上側(C社)は今までと変わりませんが、売上の相手方(C社の売上先)が免税事業者(C社)から仕入れたBを控除することができなくなり、消費税的に有利だからと他社に仕入を変えてしまわれ、売上を失う可能性も考えられます。
他にも、課税事業者と免税事業者の境目を行ったり来たりしている方は、適格事業者である間は免税事業者となることができないので注意が必要です。
お悩みの際はぜひ弊社にご相談ください。
 
まだまだ先のことではありますが、経営者の方は申請や、取引先が適格事業者かどうかの確認、適格請求書発行の設備の整備とやることがたくさんあるかと思いますので、計画的に移行の準備を検討されてはいかがでしょうか。
 
東京支店 原島周平
 
 
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