「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.02.04

資本金1億円以下に「減資」する税務上のメリット

毎日新聞社が2021年3月に現在の資本金41億5千万円から1億円に減資する(資本金を減らす)との発表がありました。
数年前にはシャープや吉本興業が資本金を大幅に減額するなど、近年、業績悪化等の理由から大企業が資本金を減らす傾向が目立っています。
資本金を減らす目的の一つは税金面で優遇措置を受けることが挙げられます。
今回は資本金を1億円、3千万円、1千万円とした場合、税務上のメリットを見ていこうと思います。
 
◆資本金1億円の場合◆
資本金を1億円以下にすることで「中小法人」として取り扱われ、下記のような優遇措置を受けることが出来ます。
(ただし、資本金が1億円以下であっても、資本金1億円を超える等の大規模な法人の子会社は優遇措置が適用されませんのでご注意下さい。)
①.軽減税率の適用
中小法人では、所得金額が年800万円までは法人税率15%の軽減税率が適用されます。
②欠損金の繰戻還付
今期赤字で前期が黒字で税金を支払った場合、前期に納めた税金を還付してもらうことが出来ます。
③800万円以下の交際費の損金算入
大法人は原則飲食等を除く交際費は損金にはなりませんが、中小法人では年間800万円以下の交際費が損金となります。
④30万円未満の資産の一括損金算入
中小法人は年間300万円を限度として30万円未満の資産をその年度に全額損金計上することが出来ます。
⑤繰越欠損金の全額控除
繰越欠損金とは過去の赤字の累積であり、今期黒字となった場合、過去の赤字と全額相殺することが出来ます。
⑥法人事業税の外形標準課税の対象外
法人事業税の外形標準課税が対象外となり、赤字の場合でも支払う付加価値割・資本割を支払わなくても良いことになります。
 
◆資本金3千万円の場合◆
また、資本金3千万円の場合、資本金1億円の優遇措置に加え、下記の優遇措置を受けることが出来ます。
・特別償却や税額控除の適用
資本金が3千万円「以下」の場合、中小企業者が対象となる機械等を取得した場合、特別償却か税額控除を選択適用することが出来ます。
なお、資本金が3千万円「超」の場合は、特別償却のみが適用可能となります。
 
◆資本金1千万円の場合◆
さらに、資本金等の額(大まかに言うと資本金と資本準備金の合計)が1千万円の場合、資本金1億円・3千万円の優遇措置に加え、さらに下記の優遇措置を受けることが出来ます。
中小法人で一番使う判定が資本金1千万円です。
・法人住民税の均等割
例えば、堺市で従業員が50人以下の場合、資本金が1千万円以下であれば均等割が5万円であるのに対し、
資本金が1千万円を超えると均等割は13万円と2倍以上になります。
 
以上のように資本金が違うだけで税務上の取り扱いが大きく異なります。
近年のコロナ禍では、雇用調整助成金などの助成金の中に資本金の額が要件の一つとなっているケースもあります。
資本金が1千万円を超える会社は、この機会に資本金の見直しをご検討されてはいかがでしょうか。
ただし資本金を単に減らすだけで税金が安くなるわけではなく、特定の条件等も必要となりますので、
減資をご検討する際は是非、弊社までご相談下さい。
 
堺事業部 小畑
 
 
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