「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.04.09

種類で異なる!?コロナ助成金等の収益計上時期

 新型コロナウイルス感染症が問題となり1年以上が経過しました。
 この1年間、国等の施策としても新型コロナウイルスの影響を受ける事業者に対する支援策として、さまざまな助成金等が設けられ、多くの事業者の方がこれらの交付を受けられたかと存じます。
 
 これらの助成金等は、その種類に応じて、それぞれのタイミングで収益計上し、いずれ課税されることになります。
 今回は、2021年3月26日に更新された「新型コロナウイルスに関する税務上の取扱いに関するFAQ(略称)」に基づいて、これらの収益計上時期を整理していきたいと思います。
 
○基本的な考え方
 原則として、助成金等は、その助成金等の交付決定がされた日の属する年度の収益として計上することとなります。
 ・・・持続化給付金、休業要請(外)支援金などが該当。
 
○特定の経費を補填するもの
 しかし、その助成金等が、特定の経費を補填するために交付されるものであり、あらかじめその交付を受けるために必要な手続きをしている場合には、その経費が発生した年度中に助成金等の交付決定がされていないとしても、その経費が発生した日の属する年度の収益として計上することになります。
 ・・・雇用調整助成金、家賃支援給付金、小規模事業者持続化補助金などが該当。
※なお、雇用調整助成金については、新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置により、事前の休業等計画届の提出は不要とされているため、この特例措置による雇用調整助成金の交付は、原則どおり、交付決定日の属する事業年度となります。とはいえ、事前の休業等計画届の提出が不要の場合であっても、交付申請を行っており、交付を受けることの確実性が認められられる場合には、経費が発生した年度に収益計上しても、税務上問題ないものと考えられます。
 
○固定資産の取得等に充てるための国庫補助金等に係る圧縮記帳
 助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合においては、その取得等に充てた助成金等の額に相当する金額の範囲内で圧縮記帳を適用し、課税を繰り延べることもできます。この場合には、減価償却に応じてその圧縮記帳相当額が課税されていくことになります。
 ・・・医療機関・薬局等における感染防止等支援事業における補助金、IT導入補助金(テレワーク導入)などのうち固定資産取得部分が該当。
 
 このようにコロナ助成金等は、その種類に応じて、収益計上時期等が異なります。
 雇用調整助成金においても、その収益計上時期について柔軟な対応が可能であるものの、所得拡大促進税制への影響を加味しなければなりません。
 支援策として非常に有難い施策ではありますが、その処理方法が複雑であるため、お困りの事業者様に関しましては、ぜひ弊社までご相談ください。
 
大元 誠児
 
 
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