「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.05.07

新型コロナウイルス感染拡大に伴う欠損金の繰戻し還付の活用

コロナ禍において、業績が悪化した事業者の方は多いのではないでしょうか。
今回は、前期まで黒字決算で、今期赤字決算となる場合に適用できる欠損金の繰戻し還付制度についてお伝えします。
①青色欠損金の繰戻し還付
《適用対象法人》青色申告書を提出する法人
《適用要件》
・還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して青色申告書である確定申告書を提出していること。
・欠損事業年度の青色申告書である確定申告書をその提出期限までに提出していること。
・上記の確定申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
通常は資本金の額が1億円以下の法人など中小企業者等にのみ適用が可能でしたが、コロナ特例により令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度については、資本金の額が1億円超10億円以下の法人も適用が可能となります。
 
②災害損失欠損金の繰戻し還付
《適用対象法人》災害損失欠損金を有する法人(白色申告法人も適用可能)
《適用要件》
・還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度までの各事業年度について連続して確定申告書を提出していること。
・欠損事業年度の確定申告書又は仮決算による中間申告書を提出していること。
・上記の確定申告書又は仮決算による中間申告書と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること。
【災害損失欠損金に該当する例】
・飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
・感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
・施設や備品などを消毒するために支出した費用
・感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
・イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損
 
青色欠損金の繰戻し還付制度と災害損失欠損金の繰戻し還付制度は併用可能です。資金繰りが厳しい事業者の方は適用対象法人に該当するかどうか一度検討してみてはいかがでしょうか。一方で、還付請求を行う場合は、税務署からの問い合わせがある可能性があるため、計算根拠となる資料はきちんと保存しておくようにしましょう。
 
宮嶋 亜湖
 
 
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