「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.07.15

解散と清算の税務について

 「会社を閉めようかと考えている・・・・」このようなお悩みをお伺いすることがあります。
つい昨年までは、「後継者もいないので将来は閉めようかと思っている」という状況だった経営者さまが、
長引くコロナの影響で、その時期を早める事にしたという決断も、良くお耳にします。
 
解散・清算と聞くと後ろ向きな話に聞こえるかもしれませんが、
安定した老後を過ごす目的であったり、一度会社を清算して新たにスタートする前向きな話と
なる場合もあるなど、非常に重要な経営上の意思決定です。
 
今回は「会社をたたむためにはどうしたらよいか」法的用語でいう所の
解散や清算について、簡単にご説明していきたいと思います。
一般的な株式会社が任意に行う場合を前提とします。
 
 解散と清算はどちらも法人格を消滅させるための手続きとなります。
解散日に、それまで行っていた営業活動を辞め、清算手続きを始めることを宣言することとなります。
 
 その後清算手続きでは、会社の資産を売却して換金したり、そのお金で負債を支払うなどして、財産・債務を整理します。その上で最終的に残っている財産を確定(残余財産)させ、財産が残っていれば株主に分配します。
この残余財産が確定した段階で清算結了の登記を行い、謄本上から会社の名前が消えることとなります。
 
 年度の途中で解散した場合は、期首~解散日までが一事業年度(解散事業年度)、
解散日の翌日~残余財産の確定の日までが一事業年度と(清算事業年度)となり、それ
ぞれ申告を行う必要があります。ただし、残余財産の確定日が解散日から1年を超える場合には、
残余財産が確定するまで1年毎の申告が必要になります。
 
 また、資産の換金過程で売却益が大きく上がってしまった場合や、返済しきれない役員借入金の債務免除をする場合など清算事業年度中であっても納税額が生じる場合もあります。
期限切れ欠損金の有無など会社の状況により課税関係が異なってきますので、検討される場合がございましたら弊社までご相談ください。
 
京都事務所 片山 宏晃
 
 
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