「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.07.09

学校法人の収益事業について

 学校法人の経理をしていて収益事業という言葉を耳にすることがあるかと思います。
ただ、一言に収益事業といっても、学校法人には2種類の収益事業が存在しています。
①私立学校法上の収益事業と、②法人税法上の収益事業です。
上記二つは似て非なるものですので、区別して考える必要があります。
 
 ①私立学校法上の収益事業(以下「私学法上の収益事業」)
私立学校法第26条や30条でこの収益事業について触れられています。上記条文では収益事業の種類等の記載がされていますが、中でも注意したいことは次の内容です。
 
・教育に支障がでないこと
・その収益を私立学校の経営に充てること
・収益を目的とすること
 
私学法上の収益事業に該当するものは何かを考える際の手掛かりになるかと思います。
 
また、私学法上の収益事業と同じような事業として、補助活動事業があります。両社の違いはその目的にあります。
 
例えば、、、
私立学校において小売業を行ったとして、その事業の目的が収益を得るためなのか、学生生徒等の勉学を支援するものなのかにより、収益事業に該当するのか、補助活動事業に該当するのかが決まってきます。
 
実施する事業によって区別されるのではなく、その実施目的により区分されることに注意しましょう。
 
 ②法人税法上の収益事業(以下「税務上の収益事業」)
税務上の収益事業は、その事業の範囲として34業種が掲げられており、継続して事業場を設けているものと規定されています。
 
そのため、私学法上の収益事業を行っていない学校法人でも税務上の収益事業を行っている場合には、法人税の確定申告を行う必要があります。
従いまして、補助活動事業も税務上の収益事業に該当するかどうかの検討が必要です。
 
税務上の収益事業はその目的により判断するのではなく、実施している個々の事業によって判断しなければなりません。
 
永島 まほろ
 
 
教育・福祉事業