「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.07.27

令和3年4月1日以降の中小企業者向け所得拡大促進税制

 令和3年度税制改正において、中小企業者向け所得拡大促進税制の適用期間の2年間延長(令和5年3月31日まで)と適用要件の見直しが行われました。令和3年4月1日~令和5年3月31日までの期間内に開始する各事業年度(個人事業主は令和4年から令和5年までの各年)について、この改正後の制度が適用されます。この制度を利用する事業者方も多いと思いますので、通常の場合に焦点を置き、主な改正点と制度を利用するための注意点についてまとめてみました。
 
(概要)
 所得拡大促進税制は、中小企業者等が前年より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除出来る制度です。
→通常の場合、控除対象雇用者給与等支給増加額×15%(法人税又は所得税の20%を限度とする。)が、税額控除額となります。
 
(主な改正点)
 改正前は、継続雇用者の一人当たりの平均給与が増加することが必要でしたが、改正後はこの要件が廃止され、人員増により給与が増加した場合でも適用可能となりました。
 
・改正前の適用要件
 雇用者給与等支給額※が前年よりも増加、かつ、継続雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加
 
・改正後の適用要件
 雇用者給与等支給額が前年と比べて1.5%以上増加
 
(制度を利用するための注意点)
 前事業年度との比較で適用要件に該当するかの判定を行います。改正前の制度と違い、新しい人材を積極的に採用することで適用が受けられるケースがありますので、適用の検討を行ってみましょう。
 
※雇用者給与等支給額…適用年度の所得金額の計算上損金の額に算入されるすべての国内雇用者に対する給与等の支給額を言います。ただし、給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額で一定のものがある場合には、当該金額を控除します。
 
大阪事業部 芦田 大季
 
 
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