「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.08.06

医療機関においてキャッシュ・フローが悪くなる要因と改善策

医療機関において、一般的にキャッシュ・フローが悪くなる要因は次のものが挙げられます。
 
【悪化要因】
①医業未収金の増加
②医薬品等の棚卸資産の増加
③医療機器等の購入
④無理な借入金返済ペース
 
【改善策】
①医業未収金
 特に窓口未収金の増加を防ぐ方法としては、保険証の確認、医療費の事前説明、クレジットカードや電子マネーによる支払い方式の導入が挙げられます。
 金融機関等の診療報酬債権ファクタリングサービス(未収金の売却による早期資金化)の利用も挙げられますが、一長一短あります。一時的な資金繰りの解消は望めますが、手数料が1%前後かかります。長期的な目線で考えた場合、逆に資金繰りが悪化する要因にもなります。
 
②棚卸資産
 院内処方をされている場合は院外処方へ切り替えます。現在は薬価差による利益が少なく、院内処方による収益改善は難しいです。また、院外処方化によって、薬品の購入に係る事務負担等も省くことができます。
 しかし、患者負担は増えるため、医院の方針によって判断する必要があります。
 
③医療機器等
 リースや割賦払いを検討します。支払期間を分割することで資金が安定します。
 しかし、リースによる場合はリース会社が所有権を持つため、リース期間終了後であってもリース料を支払い続けなければなりません。
 
④借入金の返済
 現実的な返済ペースを考慮し、固定資産の耐用年数に応じた借入計画をたてます。
 事業再生を目指す場合は、リスケジュールを銀行と交渉します。
 
医療専門部 大阪支店 山下裕太
 
 
医 業