「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.09.30

印紙税を払い過ぎていませんか?

 日常の経済取引で作成される課税文書に課せられる印紙税は、身近な税金ですが、その判断については迷いがちです。
今回は、印紙税の誤りやすい事例をいくつかお伝えいたします。
 
①消費税額等の記載について
 下記の課税文書について、消費税額等が区分記載されているとき又は、税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、
その取引にあたって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合は、消費税額等は印紙税の記載金額に含めないこととされています。
消費税額等を区分して記載しているのにもかかわらず、消費税額等を含めた金額で記載金額の判定をされていませんか?
 
・第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)
・第2号文書(請負に関する契約書)
・第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)
 
②軽減措置の対象となる課税文書かどうか
 平成26年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成される下記の課税文書については、軽減措置を適用することができます。
軽減税率を適用せず、本則税率で納めていませんか?
※租税特別措置法に規定されている時限立法であるため、今後の税制改正で改められる可能性があります。
 
・第1号の1文書(土地建物売買契約書などの不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるもの)
・第2号文書(建物建築工事請負契約書などの建設工事の請負に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が100万円を超えるもの)
 
③委任契約に該当する契約書ではないか
 請負契約と委任契約では印紙税の取り扱いが異なります。請負契約は第2号文書に該当し、印紙税が必要です。
一方で、弁護士さんへの法律相談に関する契約など、一般的に委任契約となる契約については、そもそも印紙税はかかりません。
委任契約書に印紙を貼り付けていませんか?
 
 これまで、支払わずに済んだ印紙税を支払っていなかったでしょうか。
もし印紙税を誤って納付していた場合は、所定の手続きをすることで還付を受けることもできます。
今後、上記の課税文書を作成される際は、正しく税額が判定できているか確認されてみてはいかがでしょうか。
 
宮嶋 亜湖
 
 
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