「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.10.18

たまに見かける大法人の減資について

新聞やニュースで、大法人の減資のトピックを見かけることがあります。
また最近では特に、長引くコロナ渦で資本金を減資する企業が急増しているようです。
 
2021年3月末までに資本金を減資した企業は3321社(前年比35.6%増)で、1年前と比較して873社も増えています。
その内、資本金1億円超から1億円以下に減資した大企業は997社あり、前年より約4割も増加してます。
減資ブームともいえる状況ですが、大幅な減資にはどういったメリットとデメリットがあるのでしょうか?
今回はたくさんある減資メリットのうち、税制面(節税)に絞ってご説明していきます。
 
減資の大きなメリットのひとつに税法上の優遇措置があります。
優遇措置は多くあり、このような優遇措置の適用を受けることが減資の代表的なメリットといえます。
 
しかし、減資にはデメリットもあります。
一般的に「減資」と聞くとあまり良いイメージを持ちません。業績が好調なら減資をする必要はないのでは?と思うのが一般的です。
これは株主や取引先、取引銀行に対しても同様のイメージを与えることになります。
減資を行う場合には、そういった外部からの視点を充分に考慮する必要があるといえます。
 
さて、減資のメリットの話に戻りますが、減資による税制上の優遇措置は多くあります。
ここからは中小法人が受けることができる代表的な優遇措置をご紹介致します。
 
①欠損金の繰越控除
 青色申告法人で欠損金が生じた場合には、最大10年間の繰り越しが可能ですが、大法人では毎年の所得金額の50%までしか控除できません。それが中小法人になると100%の控除を受けられます。
 
②外形標準課税の適用除外
 課税所得がゼロであったとしても、事業を行う上で課せられる外形標準課税の対象から除外されます。
 
③欠損金の繰戻し還付
青色申告法人で今期の所得金額がマイナスとなっているが、前期は所得金額があり納税している場合、前期に収めた税金の一部を還付してもらうことができます。
 
その他にも、「法人税の軽減税率」、「年間800万円以下の交際費等の損金算入」、「特定同族会社の留保金課税の適用除外」などが挙げられます。
 
決算時には今期の損益に目が向きがちですが、この機会に一度、純資産の部(資本金等)について顧問税理士に相談してみてはいかがでしょうか。
 
大阪OF 森山 享亮
 
 
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