「知」の結集 ゆびすいコラム

2022.01.06

財産債務調書の改正

先日、2022年度税制改正大綱が発表され、その中で、財産債務調書の改正についてご説明いたします。
 
財産債務調書とは、所得税・相続税の申告を適正性を確保する観点から2015年税制改正で制定されました。
 
しかし、所得金額が2,000万円以下の方が、高額の財産を保有していても、現行の財産債務調書制度では、提出義務がありませんでした。
また、納税者の財産の異動状況等が十分に把握できていなかったことから、この状況を是正するために、見直しがなされました。
 
 
1.提出義務者
・所得金額が2,000万円超で、総資産の価額の合計が3億円以上または国外提出特例対象財産(有価証券など)の1億円以上
【追加】<<総資産の価額の合計が10億円以上(所得制限なし)>>
 
2.提出期限
【変更】<<翌年6月30日>>
 
3.提出期限後に財産債務調書等が提出された場合の宥恕措置の見直し
【変更】提出期限後の財産調書の提出が、<<調査通知前にされたものである場合に限り>>、加算税等の特例を適用
 
4.記載事項の見直し
【変更】財産調書への記載を省略することができる家庭用財産(現金・美術品等を除く)の<<取得価額の基準300万円未満>>
 
適用時期
1、2、4は、2023年分以後の財産債務調書より適用
3は、2024年1月1日以降に提出より適用
 
 
改正は以上となりますが、所得税の申告義務がなくても10億円以上の財産を保有していれば、財産債務調書等の提出義務者となりますので、注意が必要です。
 
相続専門部 岡林 知里
 
 
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