「知」の結集 ゆびすいコラム

2022.01.13

改正電子帳簿保存法の宥恕措置

先日、令和4年度与党税制大綱が決定されました。その中から、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存の宥恕措置の整備」について解説します。
 
令和3年度税制大綱では、令和4年1月1日より電子データで受け取った請求書等の国税関係書類については、紙ではなく電子での保存のみを認める予定でした。
 
ですが、令和4年度税制大綱では、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの電子取引に係る電子データについて、
 
①保存要件にしたがって保存できないことにやむを得ない事情があることが認められる
 
②税務調査時に出力画面の提示または提出の求めに応じることができる
 
上記の2要件を満たす場合には、保存の要件に関わらず、電磁的記録の保存ができるものとされています。
 
つまり、令和5年末までは紙での保存も認められるということになります。ここで気になるのは、「やむを得ない事情」だと思います。
 
大綱では詳細が明らかになっていませんが、国税庁のQ&A※では、
「この宥恕措置の適用にあたっては、保存要件に従って保存をすることができなかったことに関するやむを得ない事情を確認させていただく場合もありますが、仮に税務調査等の際に、税務職員から確認等があった場合には、各事業者における対応状況や今後の見通しなどを、具体的でなくても結構ですので適宜お知らせいただければ差し支えありません。」
との記載があります。
 
すなわち、「やむを得ない事情」に係る具体的明示はありませんが、現在の対応状況と今後の見通しが説明できれば問題ないということです。
 
令和4年度税制大綱により、実質2年電子データ又は書面での保存が可能となりました。この猶予期間を活かして、システムの構築や社内ワークフローの見直しをされるのはいかかでしょうか。
 
※電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】 問41-2(参考)
 
大阪事業部 大島 敦貴
 
 
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