「知」の結集 ゆびすいコラム

2022.02.14

学校法人の退職給与引当金について

 今回は学校法人における退職給与引当金について説明していきたいと思います。
 教職員に対する退職金は、通常、就業規則等によって支給の条件等が設けられており、勤続年数に応じて支給額が増加していきます。会計基準上、退職金は賃金の後払いという考え方に沿っており、実際の支払いは退職の事実が発生したときに支給額等が確定しますが、支給の原因は教職員の勤務する各年度に生じているものと考えて、あらかじめ各会計年度の負担に帰すべき事業活動支出として計上します。
 
 では、どのように会計処理が行われていくのでしょうか。
 
 まずはじめに、当期末で教職員が全員退職するとした場合に、支給しなければいけない退職金の額(期末要支給額)を計算します。
 次に、私学退職金団体、私大退職金財団に加入している場合には、下記の計算を行います(いずれにも加入していない場合には、期末要支給額の100%が当期末で計上される退職給与引当金の額となります。)。
 
【私学退職金団体に加入している場合】
退職給与引当金=期末要支給額の100%-期末時点での私学退職金団体からの交付金の額
 
【私大退職金財団に加入している場合】
退職給与引当金=期末要支給額の100%-(掛金の累積額-交付金の累積額)
 
 また、当期末で計上されることとなる事業活動支出(退職給与引当金繰入額)の額は、下記の方法で計算します。
 
退職給与引当金繰入額=当期末退職給与引当金-(前期末退職給与引当金-当期中の退職者に係る退職給与引当金の取崩額)
(マイナスの場合は、退職給与引当金戻入額として計上)
 
 上記の計算は少し手間になりますが、今後、退職者が発生した場合にどのくらいの退職金の負担があるのかを把握するうえでは有用となります。
 
福岡事業部 橘 拓也
 
 
教育・福祉事業