「知」の結集 ゆびすいコラム

2022.02.25

学校法人の法人税申告について

私たちの仕事は、年が明け年末調整が終わり安心したと思えば早々に個人の確定申告時期に突入します。そして、怒涛の確定申告が終われば次は3月決算法人の申告時期に突入します。
私たちにとっては休むことのできない多忙な時期となりますが、今回は学校法人の法人税申告について書いてみました。
 
通常、法人は各事業年度の終了の日から2か月以内に申告書を作成し、所轄税務署に提出し法人税等の納税を行います。
 
しかし、学校法人には一般企業と異なる取扱いが多く存在します。
その理由として、学校法人は公共性・公益性を考慮して法人税・事業税は収益事業についてのみ課税されるためです。そのため収益事業を行っていない学校法人は法人税・事業税の発生がなく、所轄税務署に対して申告を行う必要がありません。
注意が必要なのは、収益事業を営まない公益法人等であっても年間の収入金額が8,000万円超である場合には、事業年度終了の日の翌日から4か月以内に所轄税務署長に収支計算書又は損益計算書を提出しなければならないという点です。
 
収益事業を行っている学校法人は、一般企業と同様に各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に法人税等の申告、納付を行います。申告書には収益事業に関する決算書のほか、収益事業以外の事業に係る貸借対照表、損益計算書等の添付が必要です(法人税法基本通達15-2-14)。
学校法人が行う代表的な収益事業には、物品販売業や技芸教授業、席貸業などがあります。しかし、学校法人が行う席貸業であっても主たる目的とする業務に関連して行う席貸業については収益事業に該当しません(法人税法施行令5条1項14号)。
 
地方税では、収益事業の所得の金額の100分の90以上を当該法人が行う経営に充てているものは収益事業の範囲に含めないとされています(地方税法施行令第7条の4)。
 
学校法人は付随事業を行うことができます。付随事業は学校法人会計基準上の教育活動に該当します。しかし、法人税法上の要件に該当すれば、法人税法上の収益事業となります。
 
学校法人の申告は、公共性・公益性の観点から多くの規定が存在します。
申告でお困りの際は、ぜひご連絡下さい。
 
岡山事業部 西村 将人
 
 
教育・福祉事業