「知」の結集 ゆびすいコラム

2022.04.25

令和4年度 診療報酬改定

 今回は、令和4年4月から適用される令和4年度診療報酬改定について、ご紹介します。詳細は厚生労働省のホームページに記載があります。
 
1.診療報酬改定の内容
(1)診療報酬 +0.43%
(2)薬価等
 (ア)薬価 ▲1.35%
 (イ)材料価格 ▲0.02%
 
 医師の人件費などにあたる本体はプラス改定でしたが、薬価部分はマイナス改定であり、トータルで▲0.94%のマイナス改定でした。
 
2.診療報酬改定の基本方針
(1)【重点課題】新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築。
(2)【重点課題】安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進。
(3)患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現。
(4)効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上。
 
3.注目ポイント
(1)紹介状なしで初診上げ、患者集中の抑制を見込む。
紹介状なしで大病院を受診する場合の報酬加算、初診で5,000円かかり、再診は2,500円の追加負担が生じます。令和4年10月1日からは初診で7,000円、再診で3,000円に負担額が引き上げられます。さらに、かかりつけ医の報酬加算改定も行われます。
 →追加負担により、大病院の外来を抑制し、患者数を減少させることで、医師の働き方改革につなげる狙いがあります。
 
(2)マイナ保険証で報酬加算
 マイナンバーカードを保険証として利用できる制度は、令和3年10月から運用が始まっていますが、普及していないのが実態です。
 今回の改定で、診療を受ける際には、初診で70円、再診で40円、薬局の調剤で30円が加算されます。3割負担の患者の場合、自己負担額はそれぞれ21円、12円、9円の負担増になります。
 →医療機関や薬局は、マイナ保険証を使った受診をするだけで加算になるので、医療機関でのシステム導入が進むと予想されます。
 
(3)不妊治療の保険適用
 高額な費用負担であった不妊治療について、保険適用ができるようになります。保険適用により、自己負担額は原則3割になります。対象治療は、人工授精、体外受精、顕微授精などがあげられ、対象者は対外・顕微は女性の年齢が43歳未満になります。
 保険適用の条件として、①女性の年齢が40歳未満なら6回、40歳以上43歳未満なら3回までに制限、②第三者の卵子・精子を用いた場合は適用外、となっています。
 →日本が抱える少子化の問題に歯止めをかける第一歩となることが期待されています。
 
(4)処方箋、繰り返し利用可能になる
 高血圧や糖尿病などの慢性疾患で同じ薬を服用し続けている場合など、医師の診察なしに薬を受け取れる「リフィル処方箋」が導入されます。制度改定後、処方箋には「リフィル可」という欄が設けられ、医師がここにチェックする仕組みになります。
 →医師の診察が不要になるため、医療費を削減できる効果が期待されています。
 
医療専門部 吉村 隆宏
 
 
医 業