日本円の暴落が止まりません。
1ドル130円の大台も超え、円安傾向が続いています。
近年、運用利回りが高いことを理由に外貨建て商品が注目されています。実際に投資されている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな状況を踏まえ外貨建て商品へ投資されている方、あるいは今後始められる方のために、為替変動による課税のタイミングについて整理していきます。
まずは、今回の円安でどれほどの評価益が発生するのか整理しましょう。
(具体例)
110円/ドルで5万ドルの外貨建て商品を購入していた場合
・投資時:5万ドル×110円=550万円
・現時点:5万ドル×130円=650万円(投資時の約118%)
この例では、為替変動だけで100万円(約18%)の利益を得ている計算となります。
2021年9月頃は1ドル約110円でしたので、8カ月ほどで約18%変動したことになります。
具体例をご覧いただくと、いかに今回の円安が大きく影響するかご理解頂けたかと思います。
上記は為替差額だけを考慮していますので、実際は利息や運用益などで利益はさらに大きくなることが想定されます。
では、この利益はいつ課税されるのでしょうか。
■「外貨建て取引」が行われたタイミングで課税される
外貨建取引とは、外国通貨で支払が行われる資産の購入、売却、満期や解約、その他の取引を指します。
つまり、外貨建て商品の満期や解約が発生した場合に、当初の取得価額とその時の換算金額との差額(具体例の100万円)について課税されます。
ただし、満期や解約等が生じても外貨のままで受取った場合には、その投資の仕方によって課税のタイミングが異なります。
■外貨建て投資信託を解約した場合
外貨建て投資信託を解約して外国通貨で受け取った場合は、その解約時に課税されます。
この場合、まだ日本円に換えて利益を得ているわけではないのに税負担が生じます。
■外貨建ての定期預金が満期となった場合
満期の外貨建て定期預金を外国通貨で受け取った場合には、以下の条件に該当する場合にのみ、その時点では課税されないこととなります。
①同一の金融機関であること
②同一の外国通貨であること
③継続して預け入れていること
したがって、為替差益を認識する必要はありません。(他の通貨に変更した時に課税されます。)
今回は、利益を得ていることを前提に説明しましたが、円高傾向にシフトすると為替差損が発生することも十分に考えられます。
実際に外貨建て取引を行う場合は、課税の取扱いはもちろんのこと、「リスクがある」ことをご理解頂いた上でご検討ください。
堺OF 中村圭吾