「知」の結集 ゆびすいコラム

2022.07.04

「株式会社」と「合同会社」

法人を設立する際、もっとも有名な法人格である「株式会社」の他に、「合同会社」という法人格での設立をされる方が近年増加してきています。
 
両者の最も大きな違いは、株主・取締役についての扱いです。
「株式会社」では『所有と経営の分離』という考えに基づき、出資をした株主と経営をする取締役とを区別しているのに対し、「合同会社」においては、出資をした者が同時に取締役(合同会社においては社員と呼称します)にもなります。
法人として行うことのできる事業に差はないため、設立費用が半額程度で済む合同会社は検討の価値ある選択肢となっているようです。
 
ただ、「合同会社」という法人格は、2006年の会社法改正で新たにできたもので、まだまだ一般になじみの薄いものですので、社会的信用度の低さによるデメリットはあります。業種によっては、名刺交換の際に「合同会社○○ 代表社員△△」という記載を相手が見た際に不信感を持たれたり、金融機関からの融資相談で審査上で不利になったりする場合もあるため、設立するのであれば「株式会社」でなければならないと考える方も依然として多いようです。
裏を返せば、例えば飲食店などBtoCの事業をする場合や、多額の融資を受けることを想定していない場合などでは、法人格をあまり気にせずに済みますので、合同会社での設立であっても支障がないものと考えられます。 
また、所有と経営が一致している合同会社では迅速な意思決定が可能となる側面もあり、Apple、Google、Amazonなどの日本法人はこぞって合同会社となっております。こうした有名企業が「合同会社」の法人格を使用するケースが増えたことで、合同会社の認知度は少しずつ向上してきているようです。
 
一昔前に比べると、法人を設立するのは非常に簡単になりました。
かつては、取締役・監査役に人数をそろえる必要があったり、資本金を1,000万円以上用意する必要があったりなど、会社を設立するには高いハードルがあったのですが、会社法の改正後は、代表者一人だけ・実質資本金1円という条件でも法律上は設立はできますし、手続きにかかる期間も2~3週間程度で可能となりました。
(過度に少額な資本金での設立は、すぐ債務超過に陥ってしまうためお勧めできません)
もしお知り合いからの会社設立の相談をされたり、別会社設立を検討されていたりする場合には、是非弊社へご相談下さいませ。
 
石橋
 
 
登記・法務