「知」の結集 ゆびすいコラム

2023.12.26

配置基準変更へ25:1

 2023年12月22日付けで、こども家庭庁から令和6年度予算案が公表されました。
 
幼保業界に関する大きなニュースとしては、従前から話題となっていた、4・5歳児配置改善加算が新たに措置される事となりました。
 
従来の30:1配置から25:1での配置に変更する場合に加算が取得できる事になります。ただし、ここが一番重要な部分となるのですが、「チーム保育推進加算(保)やチーム保育加配加算(幼・こども園)を取得している施設では、既に手厚い配置が実現出来ている為、引き続きチーム保育加算のみを適用」となるそうです。
 
つまり、従来園の先生方から相談を受けていた「配置基準が変わるなら、次年度に向けて少し多めに採用した方がよいでしょうか?」という質問に対する返答として、「チーム保育を取れていれば、現状と同じ水準でよさそうです」が答えとなります。逆に言いますとチーム保育が取れていない水準の施設様に於かれましては、人員増をしなければ減算となってしまう可能性があるとも言えます。尚差し当たっては加算扱いとなり、法的な最低基準は移行期間を経ての変更となるようです。
 
ご存じの通り公定価格の人件費部分は、園の運営面で金額的に非常に大きなインパクトを持っています。地域にもよりますがチーム保育加算では1人分の取得で580万程度の年間収入になる事が多く、例えばですがこれを非常勤の先生(常勤換算0.5人分×2人)で賄うと人件費が100万×2≒200万で事が足りるという様な、ざっくりとした試算になります。
 
また、少し別のマクロな視点で分析をしてみます。当然配置基準の改善は、業界の念願でもあり先進国の中で最低レベルと言われていた水準が良化することは喜ばしいことではありますが、施設様にとっては反面、「この採用難の時代に・・・」というお考えも頭に浮かぶ事となるでしょう。30対1から25対1への変更で、採用市場にはどの程度のインパクトがあるのでしょうか?
現在の4~5才世代は、1学年で約90万人程度の出生数があった世代です。
1学年で見ると30:1の場合 90万人÷30=30,000 の資格者が必要だったという事になります。これが25:1になると 90万人÷25=36,000人 が必要となります。
 
今回は4・5歳に向けた措置なので、(36,000-30,000)×2学年=12,000人の資格者が新たに必要になる事が推測されます。
 
とは言え、昨年の出生数が80万人を下回り、今年度も途中経過では昨年を更に下回る推移というニュースが出ています。つまり3~4年後には現状の1学年90万人時代から80万人時代が到来する事になります。
 
ここで必用な資格者数は、 80万人÷25=32,000人 / 学年 となります。残念ながら現状の30,000人よりも 2,000人多く必要である事がわかります。つまり今後数年間は、若干ですが今よりも資格者が必要な状況が続く事になり、採用競争は現状よりもやや激化する事が推察されます。 
 
その為には、資格者を増やす為の施策を更になんとか・・・と更に考えると、先日発表があった大きな人事院勧告(処遇改善)が頭に浮かんできて、国の方向性が薄ぼんやりとですが理解できる気がします。
 
採用・配置・収支など幼稚園・保育園・こども園の経営者様に取っては頭の痛い悩み事が多数あろうかと思います。ゆびすいには幼保業界の専門家が数多く在籍しておりますので、お悩み事がございましたら、是非ご相談下さい。
 
経営コンサルティング事業部 石川 泰令
 
 

教育・福祉事業