「知」の結集 ゆびすいコラム

2024.06.13

社会保険料の算定に金融所得の反映を検討

最近、お客さんと会話する中で投資を始めたという話をよく耳にします(主にNISA)。
みなさんの周りでもNISA等の投資をしているという方は多いのではないでしょうか。
そこで、今回は投資に関する話題を取り上げたいと思います。
 
厚生労働省は社会保険料の算定に金融所得を反映させることを検討し始めたそうです。
背景には社会保険料算定基準の不公平感を解消し、社会保障制度の充実を図る狙いがあります。
 
●金融所得について
金融所得とは、投資信託、株式及び預金などの金融商品から得た所得のことを指します。具体的にいえば、株の譲渡所得や配当所得、利子所得のことです。
金融所得の課税方式としては、申告分離課税、総合課税及び申告不要の3種類があります。
このうち、申告不要を選択すると、源泉徴収のみで課税関係が完了するため、確定申告が不要となります。
 
●社会保険料の算定について
社会保険料の算定方法は公的保険の種類によって異なります。
①健康保険の場合(サラリーマンなどが該当)
給与所得をベースに算定
②国民健康保険の場合(自営業者などが該当)
複数の所得の合計値をベースに算定
③後期高齢者医療制度の場合(75歳以上の人が該当)
複数の所得の合計値をベースに算定
 
今回の話は②と③に関する話です。
②と③の場合において、金融所得の課税方式について申告分離課税又は総合課税を選択すると、金融所得も社会保険料の算定に含まれますが、申告不要の場合には含まれません。
このように同じ所得であるにも関わらず、確定申告の有無で社会保険料の金額が変わってしまうのは不公平ではないかというのが今回の議論が始まった背景です。
そこで、確定申告の有無に関わらず金融所得を社会保険料の算定に含めるようにすることで不公平感を解消し、社会保障制度の充実を図ろうとしています。
 
今回の議論は2028年度までに可否の検討を進めるそうです。
ちなみにですが、冒頭の話に出てきたNISAについては社会保険料の算定に含めるかどうかは検討されていないそうです。
投資熱が高まってきている中で、社会保険料の負担増が実現すればどれほど投資に影響するのか注目したいところです。
 
税理士法人ゆびすい 福岡支店 西田浩紀
 
 
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