昨今の自然災害や気象事象には皆様驚かれることも多いかと思います。
その様な事象に対して様々な義援金の募集がされていることを皆様もご存知かと思いますので、今回は社会福祉法人が行う寄附金(義援金)についてご紹介いたします。
原則、社会福祉法人は、社会福祉法により資金の使用使途が制限されており、寄附行為は認められておりません。
例えば、介護報酬事業等でしたら、特別養護老人ホーム・訪問介護・通所介護・短期入所生活介護・障害福祉サービス等に帰属する収入を、収益事業・法人外への資金流出に当てることを禁止されています。(特養繰越金通知、障害積立金通知)
また、保育事業においても同様に、一定の要件を満たした場合に保有が認められる剰余金(収入の30%以下)の使途は、法人本部経費・同一法人内の社会福祉事業
及び一体的に運営される公益事業に限定されております。(措置費弾力運用通知、保育所弾力運用通知)
ご注意いただきたいのは、事業収益は社会福祉法人(つまり法人内)が行う公益事業又は収益事業については、その経営する社会福祉事業に支障がない限り行うことができるとされています(社会福祉法第26条第1項、第57条)。
ですので、内部の繰入金(寄附)については問題ないこととされております。
つまり、社会福祉法人の寄附行為については、資金を法人外に流出することだけは禁じられているということになります。
寄附行為は法人外への流出にあたるので禁じられている行為ですが、通念上被害が極めて甚大であること等、昨今の自然事象に対する寄附金の支出については、特例的に次の要件を満たすことを条件に、支出を可能とするケースがあります。
(厚生労働省より都度寄附が可能な自然災害は発表されております。)
要件を満たす条件について
当該法人の所轄庁と以下の条件について事前に協議すること。
① 当該法人の運営に支障を及ぼすような金額ではないこと。
② 当該法人と特殊な関係が疑われるような者・団体等へ寄付するものでないこと。
③ 法人内部の意思決定プロセスに違反するものでないか、定款に違反するものでないかの確認等を行うこと。
上記の要件を満たすことを条件に寄附金の支出を可能とする取扱いとされています。
それ以外の寄附は上記の事由により認められてはいないので、社会福祉法人が寄附行為を行う場合は十分に注意してください。
医療介護専門部 大西麻理