「知」の結集 ゆびすいコラム

2024.07.25

暦年贈与と相続時精算課税制度の併用

令和6年1月1日以降の相続・贈与の取り扱いについて改正がありました。その中でも納税者有利な改正として、相続時精算課税制度を適用した場合についても、新たに基礎控除が創設されました。こちらの記事では、両親から生前贈与を受ける場合において、以下の3つのケースのそれぞれの課税上の取り扱いをまとめています。
 
①父と母から100万円ずつ、暦年贈与を受けた場合
父と母…贈与後、7年以内に相続が発生した場合には生前贈与加算の対象となる
子…暦年贈与で合計200万円の贈与を受けるため、贈与税の申告が必要((200万円-110万円)×10%=9万円)
 
②父と母から100万円ずつ、相続時精算課税制度の贈与を受けた場合
父と母…基礎控除(110万円×100万円÷200万円=55万円)を超える部分(100万円-55万円=45万円)については、生前贈与加算の対象(一生涯)となる
子…相続時精算課税制度の贈与で合計200万円の贈与を受けるため、贈与税の申告が必要※特別控除額2,500万円に達するまでは課税なし
 
③父から暦年贈与で100万円、母から相続時精算課税制度の贈与で100万円を受けた場合
父…贈与後、7年以内に相続が発生した場合には生前贈与加算の対象となる
母…相続時精算課税制度の基礎控除110万円の範囲内のため、生前贈与加算の対象とならない
子…暦年贈与の基礎控除110万円の範囲内、かつ、相続時精算課税制度の基礎控除110万円の範囲内の贈与のため、贈与税申告不要かつ贈与税課税なし
 
このように、暦年贈与の基礎控除と、相続時精算課税制度の基礎控除は併用が可能となっておりますので、相続対策として両親から贈与をする場合には、暦年贈与を選択するのか、相続時精算課税制度を選択するのか、両親それぞれどちらの制度での贈与をするのかなどを検討する必要がございます。
 
相続対策についてご興味・ご心配のある方は、是非ともゆびすいの担当者にご相談ください。
 
山村
 
 
相 続