個人事業を営んでいた被相続人が亡くなった場合には、様々な税金に関する手続があり、様々な税務論点があります。その中で今回は相続があった場合のインボイスの取扱いについてご説明させていただきます。
インボイス登録をしている被相続人が亡くなった場合には、相続人が事業を承継するか否かで取扱いが異なります。
・事業を承継する場合
相続人がインボイス登録をしている場合には、特段何もすることなく被相続人の事業についてインボイスを発行することが可能です。
相続人がインボイス登録をしていない場合、被相続人のインボイス登録は相続によっては引き継がれないため、相続人が登録申請書を提出する必要があります。相続人が登録申請書を提出し登録を受けるまでの期間中はインボイスを発行することができず、被相続人の事業に支障をきたす恐れがあることから、「みなし登録期間」という制度が設けられています。
「みなし登録期間」とは、相続があった日の翌日から①相続人がインボイス登録を受けた日の前日と②被相続人が亡くなった日の翌日から4月を経過する日のいずれか早い日までの期間をいいます。
被相続人が2024/4/1に亡くなったことにより相続をし相続人が2024/6/1にインボイス登録をした場合は、2024/4/2から①2024/5/31と②2024/8/1のいずれか早い日まで、すなわち2024/4/2から2024/5/31までの期間となります。
前述の例で仮に相続人がインボイス登録をしなかった場合には、2024/4/2から2024/8/1までの期間がみなし登録期間となります。そのため、相続人は最大4か月間は登録申請書を提出せずともインボイス登録を受けることができ、被相続人のインボイス番号を使用することができます。2024/8/2以降はみなし登録期間を過ぎてしまいインボイスを発行することができなくなるため、みなし登録期間後もインボイスを発行する場合はみなし登録期間内に登録申請書を提出する必要があります。
・事業を承継しない場合
相続人が速やかに「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を被相続人の納税地を管轄する税務署に提出することとされています。被相続人のインボイス登録は、③上記届出書を提出した日の翌日と④被相続人が死亡した日の翌日から4月を経過した日のいずれか早い日に失効します。被相続人が2024/4/1に亡くなったことにより2024/5/31に届出書を提出した場合、③2024/6/1と④2024/8/2のいずれか早い日、すなわち2024/6/1に失効することとなります。
相続があった場合のインボイス登録についてご不明な点があれば、ぜひゆびすいの担当者にお問い合わせください。
税理士法人ゆびすい 大阪支店 大林和暉