相続税に限った話ですが実は金銭ではなく、財産の現物でも納税することができることをご存じでしょうか。
国の税金は金銭で納付することが原則ですが、相続税は財産課税という性格上、延納によっても金銭で納付することが難しい場合には、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産による納付(物納)をすることができます。
物納に使用できる財産は細かく要件が定められておりますのですべて使用できるとは限りませんが以下のものがあげられます。
第1順位:不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等
第2順位:非上場株式等
第3順位:動産(美術品等)
※物納財産には優先順位も定められており、上位の財産で物納できない場合に限り、下位の財産による物納が認められます。
物納するメリットとしましては下記の点があります。
①財産を売却する手間や仲介手数料等がかからない。
②物納許可限度額までは譲渡所得税が非課税となる。
一方、デメリットとしては下記の点があります。
①条件が厳しく、必要書類も多いので申請準備に時間がかかる。
②許可が下りるまでの利子税が課される。
③財産の評価額が市場価格よりも低くなる。
しかし、国税庁の資料を確認すると実際に物納制度を利用している人は減少傾向にあります。物納申請件数は平成16年度には3,000件程度ありましたが令和4年は62件、令和5年は25件となっております。金額を見ても、平成16年度は1,288億円でしたが、令和4年度は91億円、令和5年度は53億円とかなり減少していることがわかります。
国税HP(延納・物納申請等)
年々減少している理由としましては相続開始前から納税準備を行っている人が増加したためとされております。
相続は事前の準備も大切になりますので、是非ともゆびすいの担当者にご相談ください。
税理士法人ゆびすい 岡山支店 榊原 智和