私たちの生活にはAmazonなどの物流サービスが完全に溶け込んでおり、不可欠な社会インフラとなっています。しかし、これらの物流サービスの需要がますます高まる中、様々な問題が生じています。その中でも大きな影響がありそうなものは、働き方改革のよるトラックドライバーの長時間労働規制です。この規制が2024年度から適用されることから、「2024年問題」と呼ばれています。
ここで、税制はこの問題に対してどのような対応をしているのかを確認していきます。物流の問題に対応するため、「物流総合効率化法」という物流システムの効率化を図る法律が存在し、この法では輸送網の効率的な連携・運用、特にサプライチェーンの要である営業倉庫の活用に焦点を当てています。平成17年施行後から改正が何度かあり、今回の2024年度改正では物流総合効率化法に基づいた認定計画によって取得された資産に対して税制特例が認められており、以下のようになっております。
●所得税・法人税 ⇒ 倉庫用建物について5年間の8%の割増償却
●固定資産税・都市計画税 ⇒ 倉庫について、課税標準を5年間1/2に軽減
●固定資産税 ⇒ 付属機械設備について、課税標準を5年間3/4に軽減
現在ではこの税制特例措置が令和6年4月1日から令和8年3月31日まで延長されることが決定しており、固定資産税の特例についてはこの税制の対象となる付属機械設備に能率解析のカメラ等を追加、かつこれらの資産に関しては課税標準が5年間1/2に軽減されます。
このように税制の観点からもDXや効率化を促進する動きが徐々に増えつつあります。自会社に営業倉庫がある方は一度、物流総合効率化法の認定を受けた上で税制優遇をうけるか、検討してみてください。
今道 一瑳