「知」の結集 ゆびすいコラム

2024.11.08

介護事業所の2つの財務諸表公表の概要と注意点

先日、Q&A (Vol.2)が出された「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」についてご紹介いたします。
 
「介護サービス事業者の経営情報の調査及び分析等」は、令和6年(2024年)4月に創設された介護サービス事業者の経営情報の収集及びデータベースの整備をし、収集した情報を国民に分かりやすくなるよう属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表する制度です。
 
また類似する制度として「介護サービス情報の公表」制度というものもございます。こちらは介護サービスを利用しようとしている方が事業所選択を支援することを目的として整備されているものになります。こちらも令和6年(2024年)10月18日に通知が改正され、事業所等の財務状況が分かる書類(財務諸表又は計算書類等)の報告、一人当たり賃金の報告(任意)が追加されました。
 
類似した情報開示制度ですが、前者は集計した分析結果を公表することを目的としており、後者は個別事業所の情報開示を目的にしております。
情報開示は重要だとは考えますが、両方のシステムで報告となると事務負担となるので、データベースから「介護サービス情報」に連動すると良いですね。
また、せっかく報告した情報なので有効に利用したいところです。事業所の分析や改善に利用できるよう我々も活用情報の提供をしていきたいと思います。
 
制度の概要
■対象:原則、全ての介護サービス事業者
 ※ただし、過去1年間で提供を行った介護サービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下のものなど一部対象外があります。
■報告の単位:原則、介護サービス事業所・施設単位
 ※ただし、事業所・施設ごとの会計区分を行っていない場合などのやむを得ない場合については、法人単位での報告も可能となります。
■収集する情報:介護施設・事業所における収益及び費用、職員の職種別人員数、職種別の給与(給料・賞与)(任意事項)
■報告期限:毎会計年度終了後、3ヶ月以内
■公表方法:属性等に応じてグルーピングした分析結果の公表
 
報告に向けてのスケジュール
 令和6年7月頃  報告内容・方法等に係る通知等の発出
 令和6年秋頃   報告システムにおける操作方法のマニュアル・動画の公表
 令和7年1月以降 報告システムの運用の開始、令和6年度分報告の開始
 令和7年3月末  令和6年度分(初年度分)報告〆切
 
初年度である令和6年度は、期限が令和7年(2025年)3月となっています。社会福祉法人の場合、令和5年度決算の数値を令和7年3月末までに報告することになります。初年度のみ1年近く提出期限が遅れるようになっています。令和6年度決算の報告からではなく、令和5年分からとなりますのでご注意ください。
 
報告にあたっての準備
 報告にあたってGビズID(gBizIDプライム)のアカウント取得が必要となります。
  ※原則2週間程度でアカウントが取得できますが、早めのアカウントの取得をおすすめします。
  また、オンライン申請の場合、法人種別によってオンライン申請が受け付けられない場合がありますので、ご注意ください。社会福祉法人はオンライン対象外となります。
 
ゆびすいでは、システムから報告に必要なデータを出力するための改修をおこなっております。
2025年1月ごろアップデートを予定しております。
 
制度の詳細は厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/tyousa-bunseki.html)をご確認ください。
 
株式会社ゆびすい会計システム 増口敦彦
 
 

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