「知」の結集 ゆびすいコラム

2025.03.03

介護福祉士国家試験の受験者数と令和7年度からの制度変更について

高齢化が進む日本では、単身高齢者や認知症高齢者が年々増加しており、介護業界においてさまざまなニーズが浮き彫りとなっています。

そのため、多様な場面に対応できる専門性を持った介護福祉士の役割はますます重要視されています。
 
そこで今回のコラムでは、「介護福祉士国家試験」の受験者数について解説し、令和7年度から始まる試験制度の大幅変更についても触れていきます。
 
直近で行われた令和6年度試験(第37回 令和7年1月26日実施)の受験者数は75,387人で、昨年の令和5年度試験の受験者数74,595人から792人増加しました。
昨年度までは3年連続で受験者数が減少していましたが、4年ぶりに増加に転じる形となりました。
なお、平成28年度に受験要件の厳格化(実務経験ルートの要件として「実務者研修」の修了が追加された)が行われ、受験者数は半減してしました。
専門性の高い介護人材が全国で求められているにもかかわらず、受験者数は低迷が続いています。
 
介護福祉士の資格を目指す人の多くは、現場で働きながら勉強を進めていますが、
現行の試験制度では13科目すべてを一度にカバーしなければならず、受験への高いハードルとなっていました。
 
こうした課題を受け、令和7年度(第38回 令和8年1月実施予定)より介護福祉士国家試験のルールが大幅に変更されます。主な変更点は、以下の通りです。
 
・現行の13科目を3つのパートに分け、それぞれで合否を判定
・合格したパートはその後2年間有効
・毎年1パートずつ合格すれば、3年間で段階的に資格取得が可能
 
これにより、特定の科目が苦手な受験者でも、不合格パートに注力して勉強することができ、
実務で働く人材が試験を受けやすくなり、介護現場における人材確保が期待されます。
 
これからの「介護福祉士国家試験」は、現場のニーズに即した形へと進化していきます。
介護事業者はこの流れを正しく理解し、現場で活躍できる人材の育成に努めることが重要です。
試験制度の変更を踏まえ、従業員への情報提供や受験支援体制を整え、専門性の高い人材の確保・育成に積極的に取り組んでいきましょう。
 
税理士法人ゆびすい 医療介護専門部 山本晃太郎
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