「知」の結集 ゆびすいコラム

2025.05.07

免税店制度の見直し

令和7年度税制改正により、輸出物品販売場(免税店)制度の見直し「リファンド方式への移行」が行われました。
本制度に関しては令和8年11月1日より実施されます。
 
 現行制度では、外国人旅行者に対し免税対象物品を販売する際には消費税は課さないこととしております。
 リファンド方式では、外国人旅行者に対し免税対象物品を販売する際には消費税を課税して販売し、外国人旅行者が出国の際に税関で確認を受けると消費税相当額を返還するというもので、欧州で多く採用されている制度になります。
 
【改正の背景】
 訪日外国人旅行客が増加したことに伴い、免税店制度が使いやすくなるように改正が行われてきた一方、購入した商品を海外へ持ち出さずに、日本国内で転売する不正利用が散見されるようになりました。免税制度は頻繁に改正を繰り返すいたちごっことなっており、かつ販売側の負担や確認作業にも限界があることから根本的な見直しとなったようです。そのため、免税店の負担なく不正利用を排除するために、免税方式を出国時に返金する「リファンド方式」へと変更されます。
  
【免税店でのポイント】
(1) 消耗品の購入上限額(50万円)は撤廃。
(2) 消耗品の特殊梱包が不必要となる。・・・従来は、出国までに破損しない十分な強度がある箱や袋で梱包する必要がありましたが、不要となります。
(3) 一般物品(消耗品以外)と消耗品(食品、化粧品等)の区分廃止・・・これにより、一般物品・消耗品の分別が不要となります。
 
→購入品を日本国内で消費すると消費税の支払いもなく輸出とはならないため、従来は免税店にて消耗品を購入した際には梱包等をし、出国までに使用されないようにしていた。
 
【会計処理の想定】
(1) 売却時は課税売上として会計処理をします。
(2) 税関確認情報をもとに免税購入品の持ち出しが確認された後、課税売上から免税売上への振替処理を行います。
(3)(2)と同時に、 消費税相当額の返金をする必要があります。
(4)免税対象物品を販売してから90日を超えても税関確認情報が提供されない場合、課税販売(課税売上げ)が確定します。
 
免税店制度は近年改正点が多く、免税店の店舗がある法人様は、上記の会計処理の変更をきちんと理解しておく必要があります。
 

税理士法人ゆびすい 堺事業部 羽賀友亮
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